甘利大臣の疑惑も残されたまま、おこなわれた政府4演説。総理は「挑戦」をくりかえして勇ましさを振りまきながら、最後に憲法改正を唱えました。
冒頭の小栗上野介の嘆きを紹介したことはともかく、現状認識では世界経済の不透明感が増していることから演説は始まりました。
それ自体、外需頼みの経済政策だったとの告白ですが、それでも新しい成長軌道をつくるのだとTPPを持ち出します。
大きな不安を抱える農家に対しては、農業の体質強化と経営安定化の対策を講じるし、TPPで世界に売り込もうと発破をかけます。
この基調は被災地復興にも貫かれ、新しい産業の芽が育っていると「地方創生」を説きましたが、福島の最大の苦しみである原発事故については、「げ」の字も触れませんでした。
地方経済、観光立国と進み、「一億総活躍」への「挑戦」では、労働・介護・子育てについて具体的施策を並べました。
次に「アベノミクス」は成果を出してきたと強調して、法人税減税などを掲げて内需押上げをめざす決意を述べましたが、これまでもできていないなかで、その見通しは見えません。
外交では、アジア諸国との関係強化とともに、基軸は日米同盟であることを確認して、沖縄の新基地建設を進めていく姿勢を示しました。
自衛隊がネパール巨大地震で支援に活躍したことを引き合いに安保法制の正当性を説くのですが、違う性格の問題を結びつけて話しても正確ではありません。
最後に、また「挑戦」をエピソードを交えてくり返すのですが、問題は何に向かって「挑戦」するかです。
経済、平和と呼びかけて、ブログの冒頭に紹介したように憲法改正を持ち出しました。
ここに安倍首相の「挑戦」の意図があるように思います。
年頭から、おおさか維新を含めた改憲勢力で多数をめざすと公言してきた安倍首相。
どれもこれも重要課題で、正面から論戦には挑みますが、安倍首相の最大のねらいは見逃してはなりません。
あらためて施政方針演説を分析し、論戦準備を急ぎます。
とはいえ、その論戦相手の一人である甘利大臣の、疑惑に対する説明は誠実と言えるのでしょうか。
午前中の記者会見で、大臣室で多額のお金を受け取ったことがあるかと聞かれ、甘利大臣は「今回の件以外にはありません」という答えをしたとか。
語るに落ちたと言えるものですが、それでも正式な回答は1週間後にするから、と。
法に反することはしていないと断言できるなら、現金を大臣室で受け取ったか受け取っていないかぐらいも普通に記憶できているはずです。
抗議の意味で甘利大臣の経済演説の際に退席しましたが、控室でテレビを見ると冒頭に「お騒がせしました」と一言述べて、なぜか自民党議員は大きな拍手で応えていました。
テレビを見ていた人は、私だけでなく、なぜ重大疑惑を抱えた大臣に大きな拍手を送るのか理解できなかったのではないでしょうか。
あまりに深刻な安倍政治の現状、です。
【今日の句】 数頼み きっと国民 見透かすよ
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