2024年5月11日土曜日

アイヌ ネノアン アイヌ

 党道委員会主催の「アイヌ施策推進法見直しを考える集い」に、多くのご参加をいただきありがとうございました。人権保障の視点を持つという当たり前のことの具体化が、まだまだ遅れていることを実感しました。歴史を学ぶことが今日の議論に生きることも、あらためて学ぶことができました。

 北原モコットゥナシ(※シは小文字)教授(北海道大学アイヌ・先住民研究センター)に講演いただき、紙智子参議院議員(日本共産党先住民(アイヌ)の権利委員会責任者)が国会報告。その後に、参加者との意見交換の時間も持ちました。

 アイヌ施策推進法の付則には、施行5年を過ぎた段階で必要があれば見直すと定めています。法律上の課題、先住権をめぐる情勢と考え方などを整理し、今後に生かしていこうとの思いから開催したものです。党道委員会は年に1~2回のペースで、このような市民集会を開いてきました。

 北原先生の講演は、法の第1条「先住民族」・第4条「差別の禁止」を中心に、歴史も紐解いてわかりやすく話されました。「差別が生まれてきた歴史、不当さを知る」「マジョリティの特権性を見ずに、マイノリティの状況改善は議論できない」などの指摘に合点がいきました。

 さかのぼれる範囲で言えば、私の出自は和人。現代社会ではマジョリティです。自民・杉田水脈衆議院議員のようなアイヌに対する侮辱は論外ですが、同時に、上からの「思いやり」を基調とした議論でなく人権保障の視点になっているかと、みずからを問いながら講演を聞きました。

 実践すべきはマジョリティの側であり、国際的にはメキシコ大統領もローマ教皇も先住民への同化政策や虐待に謝罪して、歴史的責任を明らかにしています。日本政府としての謝罪がないゆえに、杉田氏のような執拗な侮辱や暴言が続くのではないのか。

 紙議員からは、法の見直しに向けた大前提にアイヌ自身の声が反映できる仕組みをと述べ、見直しへの主な柱として▼国際基準にたった見直し、▼先住権を認め、法に明記する、▼差別・ヘイト行為ををなくす措置を国と道の責務に、などに触れました。

 遺骨返還やウポポイのあり方、集団としての権利についてのほか大学生から「アイヌ語についての国会の関心は」との質問もあり、北原先生や紙議員の答えにも納得。このような議論を国が主催者として道内各地でおこない、法律の見直しへとつなげるべきです。北海道でも、私自身の課題として声をあげていきたい。

 紙議員とは、ラポロアイヌネイションのサケ捕獲権訴訟で弁護団を務めた市川守弘弁護士からヒアリングも。先住権についての考えの整理や札幌地裁判決のポイント、国際的到達点なども学びました。学び深めることの大切さを痛感です。

 この間の集会では「アイヌ ネノアン アイヌ」(人である人)という言葉が、くりかえされてきました。誰もが人間らしく生きていける社会にしていきましょう。そのためにも、歴史をきちんと学ぶことを大切に。私も貫いていきたいです。

 【今日の句】法律に アイヌ自身の 声をこそ

2024年5月10日金曜日

無責任なまま続けてきた工事ではないのか

 鉄道運輸・機構が新幹線札幌延伸の2030年度末開業を断念したことに対し、党道委員会としてコメントを発表しました。ぜひ、お読みください。

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 北海道新幹線の2030年度末の札幌延伸断念
   --歴史的検証と、今後の計画や予算を早期に示すとともに延伸見直しも含めた抜本的検討を
                       2024年5月10日 日本共産党北海道委員会

 鉄道・運輸機構は8日、北海道新幹線の札幌延伸は2030年度末に間に合わず、数年単位で新たな開業は遅れる見込みと表明した。トンネルの難工事を原因にあげているが、北海道の地質については専門家から指摘されてきたことであり、建築費高騰・作業員不足なども懸念されてきたことである。それらを無視した工事の強行によって、現場での死亡事故は6件も発生し、有害残土の影響を心配する市民の声よりも搬入を優先するという事態も起きている。自然環境や農林漁業、住環境を脅かす有害残土を押しつけないでという住民の願いは当然である。
 事業費はすでに2兆3150億円と試算され、その3分の2を国が、3分の1を地方が負担することになっている。さらに事業費が膨らむことは必至で、北海道や沿線自治体の関連経費もあわせ、今後の負担が雪だるま式に増えていく恐れがある。JR北海道は「中期経営計画」で札幌延伸後の高速化構想を発表したが、早くも画餅となった。
 昨年5月の参議院決算委員会では紙智子参議院議員が追及し、鈴木財務相は「(工事費が膨らんだ北陸新幹線の)反省をふまえ対応するよう国交省に求める」と答弁している。日本共産党北海道委員会は昨年10月の政府への要請で、工事の遅れは明白であり、「早く延期など発表しないと矛盾が深まる」と畠山和也道副委員長らが強調したが、国交省側は無回答を貫いた。
 このような経過や、今後の道民生活・地域経済に与える影響をふまえ、日本共産党北海道委員会は以下の点を政府と鉄道・運輸機構に強く求めるものである。

 1.当初の「2035年度開業」から、5年も前倒しした経過の公表・検証を

 そもそも札幌延伸は2035年度の開業目標を、自民党や経済界の強い要望があって前倒しされたことは周知の事実である。地質についての科学的検討や有害残土の適切な処理などが詳細に検討され、5年の前倒しが可能となったのか定かではない。十分な技術的・財政的裏づけを持たず工期短縮に突入したことで、死亡事故や環境破壊、過大な財政支出、住民合意なき有害残土の押しつけとなったのであれば、その政治的責任は重大と言わざるを得ない。経過を公表・検証し、今後の教訓とすべきである。

 2.今後の計画や事業費の全容を早期に明らかにし、延伸見直しも含めた抜本的検討を

 いつを開業時期とするかはJR北海道の経営計画にとって必須であり、利用者数の需要見通しについての再検討も避けられない。今後の工事計画や事業費を明らかにせず税金を雪だるま式に支出することは許されず、北海道はじめ関係自治体の負担増も大きな懸念である。政府や鉄道・運輸機構が、JR北海道の経営への影響や自治体負担を含めた事業費の全容を明らかにすることは、工事継続の大前提である。
 あわせて、札幌延伸の見直しも含めた抜本的検討をおこなうよう強く求める。事業費の膨張とともに、過大な需要予測によって巨大な赤字を膨らませ、将来にツケをまわす「後は野となれ山となれ」というやり方との決別を真剣に検討すべきである。
 あわせて、地方路線は赤字を理由に廃止しながら多額の赤字を抱える新幹線は聖域扱いという「二重基準」や、有害残土を含む要対策土処分場の反対の声を無視した沿線住民への押しつけも、根本からあらためることを求める。

 3.並行在来線は「経営分離」にとらわれず、維持・存続へ議論のやり直しを

 並行在来線となる函館本線は、道と沿線自治体のもとで長万部-小樽間(「山線」)のバス転換を決定したが、運転手の確保が見通せないなど、具体的な協議が進んでいない。函館-長万部間(「海線」)は貨物輸送に必要な路線として、国も交えた協議が続いている。延伸の開業時期が未定となれば、いずれも現状の継続となるが、公共交通や貨物輸送に欠かせない路線としての議論に立ち返るときである。

 そもそも並行在来線の経営分離は法律上の規定はなく、1990年当時の政府・与党の合意に過ぎない。「経営分離、枠組み見直せ」(「道新」社説2023.7.27)の指摘もあり、当時の決定にとらわれない議論のやり直しを進める重要な機会とし、政府の決断を求める。日本共産党は、函館本線の維持・存続へ国が責任を果たすよう強く求める。

                                      以上

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 「大きな岩盤で工事が進まない」と、想定外だったと言わんばかりの責任放棄を容認してはならないと思います。工期短縮が本当に可能だったのか、政治的責任も含めて問わなければ、同じことがくりかえされてしまいます。

 残土処理も、反対した市民が悪者であるかのようなことは許されない。住環境への影響を心配するのは当然で、責任は工事主体の側にあります。札幌市など沿線自治体も、真摯に住民の声に向き合う機会とすべきではないでしょうか。今後の財政負担も、たいへん心配です。

 そもそも札幌延伸で、本当にJR北海道は経営が黒字になるのか。過去の甘い需要予測は通用しませんから、当然やり直すべきです。それができないのなら、工事そのものを抜本的に見直さないと、将来へのツケばかりが増えることになるのではないか。

 これまでの経過を見ても、計画性も安全性も財政上も無責任なまま工事が続けられてきたと思います。函館本線など在来線の公共性を大切に、鉄道行政を大元から見直すべきと訴えていきたいです。

 今日は道原発連の宣伝、党道委員会勤務員による宣伝など。「原発ゼロ」の署名に応じてくれた方は「原発が攻撃対象になったらどうするのか」など、「おかしい」を連発しながらペンを走らせたとか。ここにも無責任の構図があると思いました。

 宮内しおり道2区予定候補(比例重複)が、世界では大学などの学費が無料・低額であることを知らせると、関心をもって聞いているような学生・高校生の姿も。変えられる展望はあると、さらに広げていきたいです。

 【今日の句】将来に 莫大なツケ 残さぬか

2024年5月9日木曜日

ポスト資本主義を語り合おう

 大学のゼミの一環で各党へインタビューするとのことで、私が党道委員会を代表してお答えしました。綱領や政策などもふまえ、質問には「科学的社会主義を資本主義経済に有効的に導入するには」というものも。大学生の問題意識も聞くことができた、貴重な交流の時間でもありました。

 事前にいただいて質問は10項目。気候変動対策の具体化から始まり、「大企業優遇をやめた後の、企業の成長力や国際競争力などへの取り組みは」「日米安保条約を廃棄したことで起こる安全保障の空白や国際的立場の変化は」「教育や社会保障の拡充といった政策を実現するにあたっての問題は」などのほか、戦争への抑止力や国際テロ対策、支持率や得票率を上げるための努力など、幅広いものです。

 綱領や政策などで公式に発表してはいますが、質問に答えるように組み替える準備に私も四苦八苦。連休も使って調べていた課題もあり、私自身が最も勉強になったかもしれません。特に科学的社会主義については、まとまった時間で久しぶりに学び直しました。

 10項目以外の質問でも、「憲法はGHQによって押しつけられたものと言われていますが、変える必要はないのでしょうか」「アジアでの平和の枠組みをつくるのに、中国や北朝鮮などとどのような話し合いを」などの質問も出され、憲法の値打ちとその実現こそ必要なこと、中国や北朝鮮も国連や国際機関に加盟していることから一致点がゼロではないことなど、私からも述べました。

 留学生が「日本の文化に関心があって留学を選びました」との「明るい日本」のイメージだったのに対し、学生たちは社会の行きづまりを実感しているという「暗い日本」のイメージがあるとの話も。ある学生は「活動家」と呼ばれる方へのインタビューもしたとのことで、学業やバイトなどで余裕がない自分にはとてもできない、と感じたそうです。

 もどかしい思いや疑問はあるし、変えられるなら変えたいと、多くの青年たちが考えているのだと伝わりました。今回のインタビューの発端に、「ポスト資本主義について考えていた」ことがあったとも聞きました。身近なことから世界や社会体制のことまで、大きな大きな模索のなかに青年たちがいるのです。

 ポスト資本主義について、他の政党はどう語るのでしょうか。「人間の自由」が花開く社会主義・共産主義社会は、資本主義の財産を引き継ぎながら、利潤第一の経済の仕組みを変えていくもの。自分らしく生きられる「時間」を生み出せる社会をつくろうと、私も訴えていきたい。

 【今日の句】対話から すでに変化は 始まって

2024年5月8日水曜日

子どもに平和と安心を

 保育士による後援会が主催した「つどい」。仕事の後に集まってくださり、保育や子育て、日本の未来と平和などを語り合いました。わが子たちもお世話になり、私と連れ合いも親として成長させてもらえた保育園。子どもたちが豊かな「子ども時代」を送れるように、私も力を尽くします。

 私から話したテーマは、▼子育て・教育やジェンダー平等、食の安心・安全で「世界水準の日本に」、▼岸田首相が進める戦争する国づくりから「平和な日本にするために」、▼平和も人権も「憲法が生きるように」--など。

 あわせて、誰もが生きづらい日本になっている大元にある「2つのゆがみ」(財界・大企業優遇と米国いいなり)を変えれば、必ず希望が見えてくることも話しました。仕事後の疲れもあったでしょうが、じっくり聞いてくださって本当にありがたかったです。

 その後は熱い思いが次々と。「憲法が壊されていくようでこわい。国会審議は進んでいますか」「食べることは大事なのに自給率が低すぎる。何かできることは」などなど、終わってからも「野党が政権を取った場合、官僚は協力するのでしょうか」という質問も。いろんな不安や疑問があるんてすよね。

 小さい時から知ってる子たちが社会人や高校生になって、つどいに来てくれたことも嬉しい。こうして次の世代へとつなげていけるのは、さらに元気も湧いてきます。しんぶん赤旗も3人が購読してくださいました。

 保育行政では76年ぶりに職員配置基準が改定され、保育士1人あたりの児童数は4・5歳児で30人→25人、3歳児で20人→15人となりました。子どもたちの発達を保障し、安全も確保していくためには、さらに1人あたりの人数を減らしたほうがいい。保育士増員や処遇改善に向けて、国の支援を強めることが必要です。

 このような前進も、保育士や保護者などが力をあわせて声をあげてきたから。秋には保育園で署名の大運動をするのですが、私も子どもたちが在籍時にはいっしょに取り組んだものでした。今度は国政の場で、実態を反映させていきたい。

 子どもたちのことを中心に考える「つどい」は、雰囲気もあたたかい。最後は全員で記念写真も撮って終えました。

 【今日の句】がっしりと 根を張る大人が いる強さ

2024年5月7日火曜日

「地方は国の言うことを聞け」なのか

 全国首長九条の会ニュースを読んでいたら、前訓子府町長・菊池一春さんの寄稿が目に入りました。地方自治法「改正」に断固反対との内容です。住民が主人公の町政を進めてきた菊池さんだけに、国による「指示権」拡大は許されないとの論旨に納得です。

 地方自治法改定案は、民法改定案(共同親権)や経済秘密保護法案などと並ぶ、後半国会の重要法案の1つ。災害や感染症などの「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」が起きた際に、国が地方自治体へ指示を出せるよう権限を強めるという内容です。

 最近の感染症で言えば新型コロナですが、地方自治体は現行法のもとで懸命な対策をおこなってきました。現場を知る地方自治体のほうが、先行的な対策をおこなっていた場合もあります。国の指示権は、何のために必要だというのでしょうか。

 そこで菊池さんも指摘しているのが、安保3文書の具体化としての位置づけ。今の有事法制では認められていませんが、今回の「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」にて指示が可能になる、ということです。

 すでに沖縄県では、辺野古新基地建設にあたっての代執行が強行されています。今回の法改定で、さらに強権的に進められる根拠となりはしないのか。そもそも憲法の地方自治をも覆し、立憲国家・法治国家を否定するような内容ではないのか。

 街頭でも訴えましたが、耳で一度聞いただけでは理解しにくい内容かもしれません。つまりは、地方は国の言うことを聞けという体制づくりが進められるということ。岸田政権の「戦争する国づくり」の危険性とあわせて、ていねいに広げていきたいです。

 【今日の句】強権と 見下す国で いいものか

2024年5月6日月曜日

星空は平和あってこそ

 連休は仕事だったという方、ゆっくりされたという方、いろいろですよね。私も家の片付けや、子どもと札幌市青少年科学館のプラネタリウムへ行ったりして過ごしました。少し骨休めできました。

 科学館では「プラネタリウム100年」との企画をしていました。世界で最初のプラネタリウムはドイツだったのですね。精巧に星空を映そうと、どれだけ努力されたのでしょう。とても気の遠くなる作業のように思えます。

 不思議なことだらけの宇宙も、今は世界で開発競争の対象に。衛星を飛ばして情報をつかむという、軍事上も重要な位置づけになっています。国際的な平和が訪れれば、軍事予算も科学研究費にまわせるのにと思うと残念です。

 誰もが宇宙の始まりや、宇宙の端はどこなのかと考えたことがあるのではないでしょうか。先へ進めば、新たな物質が発見されるかもしれません。宇宙から見れば小さな小さな地球で、何を争っているのかと思ったりもします。

 プラネタリウムで星座や神話の説明を聞きながら、宇宙を戦争や国威発揚の場に使わないでと、心から思いました。

 【今日の句】あの星に 行けたら人生 変わるかも

2024年5月5日日曜日

このまま原発のない北海道へ

 泊原発の停止から12年。このまま再稼働しないで廃炉にと、毎年の「北海道大行進」(主催は泊・核ゴミNO!道連)に参加しました。好天にも恵まれて、札幌市内を気持ちよく歩きながらアピールしました。

 これほど泊原発の審査に時間がかかっているのは、活断層の存在はじめ安全性を確保できないから。新たな防潮堤を建てるなど、さらに費用を膨らませて、北電の経営の重しにもなっているはずです。

 それらの費用は料金にはね返り、道民は全国一高い電気料金を強いられています。くらしでも商売でも負担が増してる一方で、北電は過去最高益と発表されました。

 しかし道民への還元はなく、くりかえし「原発を再稼働すれば料金は下げられる」と再稼働ありきの姿勢を続けてきました。原発を抱えているから経営が苦しいのに、なぜ転換へと踏み出さないのか。

 何より岸田政権のもとで「原発回帰」に舵を切ったことが大問題。動かせば必ず出る「核のゴミ」の安全な処分方法も定まっていないのに、交付金の力で調査を誘導させました。これこそ未来に対して無責任ではないのか。

 何より福島第一原発事故は、今も収束していないのです。故郷を追われた方々の苦しみを忘れてはいけないし、同じ事故を起こしてはならないはずです。

 原発の安全神話は崩壊し、地震大国の日本で原発の安全は保障できません。省エネ・再エネで、原発のない未来を選ぼう。行進に手を振る方の姿もありました。私もくり返し訴えていきたい。

 【今日の句】子どもには 未来の安心 手渡そう