2024年5月10日金曜日

無責任なまま続けてきた工事ではないのか

 鉄道運輸・機構が新幹線札幌延伸の2030年度末開業を断念したことに対し、党道委員会としてコメントを発表しました。ぜひ、お読みください。

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 北海道新幹線の2030年度末の札幌延伸断念
   --歴史的検証と、今後の計画や予算を早期に示すとともに延伸見直しも含めた抜本的検討を
                       2024年5月10日 日本共産党北海道委員会

 鉄道・運輸機構は8日、北海道新幹線の札幌延伸は2030年度末に間に合わず、数年単位で新たな開業は遅れる見込みと表明した。トンネルの難工事を原因にあげているが、北海道の地質については専門家から指摘されてきたことであり、建築費高騰・作業員不足なども懸念されてきたことである。それらを無視した工事の強行によって、現場での死亡事故は6件も発生し、有害残土の影響を心配する市民の声よりも搬入を優先するという事態も起きている。自然環境や農林漁業、住環境を脅かす有害残土を押しつけないでという住民の願いは当然である。
 事業費はすでに2兆3150億円と試算され、その3分の2を国が、3分の1を地方が負担することになっている。さらに事業費が膨らむことは必至で、北海道や沿線自治体の関連経費もあわせ、今後の負担が雪だるま式に増えていく恐れがある。JR北海道は「中期経営計画」で札幌延伸後の高速化構想を発表したが、早くも画餅となった。
 昨年5月の参議院決算委員会では紙智子参議院議員が追及し、鈴木財務相は「(工事費が膨らんだ北陸新幹線の)反省をふまえ対応するよう国交省に求める」と答弁している。日本共産党北海道委員会は昨年10月の政府への要請で、工事の遅れは明白であり、「早く延期など発表しないと矛盾が深まる」と畠山和也道副委員長らが強調したが、国交省側は無回答を貫いた。
 このような経過や、今後の道民生活・地域経済に与える影響をふまえ、日本共産党北海道委員会は以下の点を政府と鉄道・運輸機構に強く求めるものである。

 1.当初の「2035年度開業」から、5年も前倒しした経過の公表・検証を

 そもそも札幌延伸は2035年度の開業目標を、自民党や経済界の強い要望があって前倒しされたことは周知の事実である。地質についての科学的検討や有害残土の適切な処理などが詳細に検討され、5年の前倒しが可能となったのか定かではない。十分な技術的・財政的裏づけを持たず工期短縮に突入したことで、死亡事故や環境破壊、過大な財政支出、住民合意なき有害残土の押しつけとなったのであれば、その政治的責任は重大と言わざるを得ない。経過を公表・検証し、今後の教訓とすべきである。

 2.今後の計画や事業費の全容を早期に明らかにし、延伸見直しも含めた抜本的検討を

 いつを開業時期とするかはJR北海道の経営計画にとって必須であり、利用者数の需要見通しについての再検討も避けられない。今後の工事計画や事業費を明らかにせず税金を雪だるま式に支出することは許されず、北海道はじめ関係自治体の負担増も大きな懸念である。政府や鉄道・運輸機構が、JR北海道の経営への影響や自治体負担を含めた事業費の全容を明らかにすることは、工事継続の大前提である。
 あわせて、札幌延伸の見直しも含めた抜本的検討をおこなうよう強く求める。事業費の膨張とともに、過大な需要予測によって巨大な赤字を膨らませ、将来にツケをまわす「後は野となれ山となれ」というやり方との決別を真剣に検討すべきである。
 あわせて、地方路線は赤字を理由に廃止しながら多額の赤字を抱える新幹線は聖域扱いという「二重基準」や、有害残土を含む要対策土処分場の反対の声を無視した沿線住民への押しつけも、根本からあらためることを求める。

 3.並行在来線は「経営分離」にとらわれず、維持・存続へ議論のやり直しを

 並行在来線となる函館本線は、道と沿線自治体のもとで長万部-小樽間(「山線」)のバス転換を決定したが、運転手の確保が見通せないなど、具体的な協議が進んでいない。函館-長万部間(「海線」)は貨物輸送に必要な路線として、国も交えた協議が続いている。延伸の開業時期が未定となれば、いずれも現状の継続となるが、公共交通や貨物輸送に欠かせない路線としての議論に立ち返るときである。

 そもそも並行在来線の経営分離は法律上の規定はなく、1990年当時の政府・与党の合意に過ぎない。「経営分離、枠組み見直せ」(「道新」社説2023.7.27)の指摘もあり、当時の決定にとらわれない議論のやり直しを進める重要な機会とし、政府の決断を求める。日本共産党は、函館本線の維持・存続へ国が責任を果たすよう強く求める。

                                      以上

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 「大きな岩盤で工事が進まない」と、想定外だったと言わんばかりの責任放棄を容認してはならないと思います。工期短縮が本当に可能だったのか、政治的責任も含めて問わなければ、同じことがくりかえされてしまいます。

 残土処理も、反対した市民が悪者であるかのようなことは許されない。住環境への影響を心配するのは当然で、責任は工事主体の側にあります。札幌市など沿線自治体も、真摯に住民の声に向き合う機会とすべきではないでしょうか。今後の財政負担も、たいへん心配です。

 そもそも札幌延伸で、本当にJR北海道は経営が黒字になるのか。過去の甘い需要予測は通用しませんから、当然やり直すべきです。それができないのなら、工事そのものを抜本的に見直さないと、将来へのツケばかりが増えることになるのではないか。

 これまでの経過を見ても、計画性も安全性も財政上も無責任なまま工事が続けられてきたと思います。函館本線など在来線の公共性を大切に、鉄道行政を大元から見直すべきと訴えていきたいです。

 今日は道原発連の宣伝、党道委員会勤務員による宣伝など。「原発ゼロ」の署名に応じてくれた方は「原発が攻撃対象になったらどうするのか」など、「おかしい」を連発しながらペンを走らせたとか。ここにも無責任の構図があると思いました。

 宮内しおり道2区予定候補(比例重複)が、世界では大学などの学費が無料・低額であることを知らせると、関心をもって聞いているような学生・高校生の姿も。変えられる展望はあると、さらに広げていきたいです。

 【今日の句】将来に 莫大なツケ 残さぬか

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