2013年9月27日金曜日

JR北海道調査・続報!

 昨日のJR北海道調査からわかったことは--乗客の「命」より経営を優先している経営実態と、それを「民間事業者だから」と放置する国の責任が問われている、ということだと考えています。

  昨日の調査は、①JR北海道本社への聞き取り、②苗穂工場での聞き取り・視察、③労働現場の実態について聞き取り、というものでした。

  ①JR北海道本社では、冒頭に反省が述べられましたが、肝心の安全対策は、これまでも「できる範囲のなかでの設備投資」をしてきた、との回答でした。

  「できる範囲」というのは、財政の制約の範囲で、ということでしょう。

  でも、それで安全が担保されていないことは明白でした。

  「明日に乗っても安全と、必ず言い切れるか」との問いに、無言の時間が流れました。

  「できる範囲」でなく、「命を守るための範囲」でなければならないはずです。

  「安全を守るために、足りないと思うものを言ってほしい」と述べたのですが、批判を恐れてか、明確な返答がなく残念でした。

  別な言い方をすると、本来の安全を守るために何が必要なのか、承知できないのかもしれません。

  JR東日本に支援を要請したようですが、技術部門でなくマネジメント部門だと言います。

  管理統合に向けての布石か、との思いもします。

  全体としてJR北海道の特徴は「これだけのことをやってきた・これからやる予定」などが多く、責任の所在もあいまいとの感じを受けました。

  ②次に伺った苗穂工場では、工場長さんの案内で工場内にも入れさせていただきました。

  いまエンジンの数だけでも20数種類もあり、若手の現場技術者が覚えるのも大変と聞いたことがあります。

  「工場では修理できているはずなのに、なぜそれでも事故が相次ぐのか」との問いに、「やるべきルールに基づいて進めてきた」「ダメな部分があれば、計画的に取り替える」などとの回党。

  130km/hの高速運転に、車両やエンジンが耐えられてきたのかの問いには「負荷はかかるが、回数が増え距離も伸びる分、定期検査に入る頻度が増える」とのことでした。

  ちなみに車両というのは使用期限がなく、老朽化すれば「延命工事」をして利用するそうで、だいたい30~35年もの間使います。

 北海道は積雪・寒冷・凍土などの状況が起き、保線でも修理でも、JR他社とは違う苦労もあるわけですが、技術現場では最大限の力を発揮しても、その基準がふさわしくなければ同じことが起きかねません。

  安全技術だけでなく、安全基準はどうだったかの総括が必要、との結論を持ちました。

  ③夜には労働現場の実態を聞きましたが、驚くことばかりでした。

  「会社は基本的に『故障発生主義』。事前保全という発想が持てないでいるのでは」との話を伺いました。

  保線でも人員削減で「検査続きで補修できない」「必要な資材を要求しても、予算の関係でとカットされる」との生々しい実態も。

  これまで事故が続き聴取なども続いたため、社外との関係では自己防衛的になっているのでは、との意見も。

  会計検査院からも指摘されているとおり、工場同士で統一調書でないために、同じ車両を検査しても同じようにデータを見比べられない、との状況も述べられました。

  「現場には『現場力』が必要だとされるが、現場に見合った統一ルールをつくるだけの経験を持った人が本社にいないのでは。『本社力』こそ必要だ」との指摘には、なるほどと思いました。

  企業体質というのは、トップからの「風通し」も必要ですが、適材適所による体質改善というのもありますよね。

  また労働組合などからの要求というのも、安全を願ってものであり、正面から応えるものがあったのではないでしょうか。

  そして、JRだけでなく国の責任を明確にしなければならないと、調査団は確認しました。

  検査期間の延長は、JRから申請されて国が認可することになっています。

  車両やエンジンなどの効率化ができれば、検査期間を伸ばしても大丈夫だとされてきました。

  それはJR側の「安全基準」にもとづくものですが、先に見たように北海道特有の条件から、その「安全基準」は他社よりも厳格であってしかるべきです。

  事業者としてのJRの責任とともに、監督する必要がある国の責任。

  特にJRは公共交通であるわけで、単純に事業者まかせにしていいものではないはずです。

  そして大元をたどれば、分割民営化が正しかったのかに突き当たります。

  北海道・四国・九州は経営基盤が弱いことがハッキリしていて、基金を積むことになりました。

  今その運用益も減っており、さらにJR北海道では経営の苦しさが深刻になっています。

  だからと言って設備費を削っていい理由にはなりませんが、こういうことは想定されていたのではないでしょうか。

  さぁ、これからが大仕事です。

  分割民営化以後の「負の遺産」を正していくわけですから。

  まず「鉄路の安全」を確保することを、最優先の原則とすること。

  そのために必要な人もカネも、必ず準備すること。

  北海道特有の自然・地理的条件に見合った、安全基準を再検証すること。

  それらの際に、きちんと国が監督責任を果たしていくこと。

  資料を整理しながら、今日は退職教職員の会や、函館地区で8中総報告会へと回ってきました。

  分刻みで動いていたら特急にタッチの差で乗り遅れ、飛行機でギリギリ函館に到着なんてことも。

  時間を有効に使って、さまざまな問題解決へがんばります!

  【今日の句】 楽天を よそ目に北は 来季こそ

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