昨日の調査は、①JR北海道本社への聞き取り、②苗穂工場での聞き取り・視察、③労働現場の実態について聞き取り、というものでした。
「できる範囲」というのは、財政の制約の範囲で、ということでしょう。
でも、それで安全が担保されていないことは明白でした。
「明日に乗っても安全と、必ず言い切れるか」との問いに、無言の時間が流れました。
「できる範囲」でなく、「命を守るための範囲」でなければならないはずです。
「安全を守るために、足りないと思うものを言ってほしい」と述べたのですが、批判を恐れてか、明確な返答がなく残念でした。
別な言い方をすると、本来の安全を守るために何が必要なのか、承知できないのかもしれません。
JR東日本に支援を要請したようですが、技術部門でなくマネジメント部門だと言います。
管理統合に向けての布石か、との思いもします。
全体としてJR北海道の特徴は「これだけのことをやってきた・これからやる予定」などが多く、責任の所在もあいまいとの感じを受けました。
②次に伺った苗穂工場では、工場長さんの案内で工場内にも入れさせていただきました。
「工場では修理できているはずなのに、なぜそれでも事故が相次ぐのか」との問いに、「やるべきルールに基づいて進めてきた」「ダメな部分があれば、計画的に取り替える」などとの回党。
130km/hの高速運転に、車両やエンジンが耐えられてきたのかの問いには「負荷はかかるが、回数が増え距離も伸びる分、定期検査に入る頻度が増える」とのことでした。
ちなみに車両というのは使用期限がなく、老朽化すれば「延命工事」をして利用するそうで、だいたい30~35年もの間使います。
北海道は積雪・寒冷・凍土などの状況が起き、保線でも修理でも、JR他社とは違う苦労もあるわけですが、技術現場では最大限の力を発揮しても、その基準がふさわしくなければ同じことが起きかねません。
安全技術だけでなく、安全基準はどうだったかの総括が必要、との結論を持ちました。
③夜には労働現場の実態を聞きましたが、驚くことばかりでした。
「会社は基本的に『故障発生主義』。事前保全という発想が持てないでいるのでは」との話を伺いました。
これまで事故が続き聴取なども続いたため、社外との関係では自己防衛的になっているのでは、との意見も。
会計検査院からも指摘されているとおり、工場同士で統一調書でないために、同じ車両を検査しても同じようにデータを見比べられない、との状況も述べられました。
「現場には『現場力』が必要だとされるが、現場に見合った統一ルールをつくるだけの経験を持った人が本社にいないのでは。『本社力』こそ必要だ」との指摘には、なるほどと思いました。
企業体質というのは、トップからの「風通し」も必要ですが、適材適所による体質改善というのもありますよね。
また労働組合などからの要求というのも、安全を願ってものであり、正面から応えるものがあったのではないでしょうか。
そして、JRだけでなく国の責任を明確にしなければならないと、調査団は確認しました。
検査期間の延長は、JRから申請されて国が認可することになっています。
車両やエンジンなどの効率化ができれば、検査期間を伸ばしても大丈夫だとされてきました。
それはJR側の「安全基準」にもとづくものですが、先に見たように北海道特有の条件から、その「安全基準」は他社よりも厳格であってしかるべきです。
事業者としてのJRの責任とともに、監督する必要がある国の責任。
特にJRは公共交通であるわけで、単純に事業者まかせにしていいものではないはずです。
そして大元をたどれば、分割民営化が正しかったのかに突き当たります。
北海道・四国・九州は経営基盤が弱いことがハッキリしていて、基金を積むことになりました。
今その運用益も減っており、さらにJR北海道では経営の苦しさが深刻になっています。
だからと言って設備費を削っていい理由にはなりませんが、こういうことは想定されていたのではないでしょうか。
さぁ、これからが大仕事です。
分割民営化以後の「負の遺産」を正していくわけですから。
まず「鉄路の安全」を確保することを、最優先の原則とすること。
そのために必要な人もカネも、必ず準備すること。
北海道特有の自然・地理的条件に見合った、安全基準を再検証すること。
それらの際に、きちんと国が監督責任を果たしていくこと。
資料を整理しながら、今日は退職教職員の会や、函館地区で8中総報告会へと回ってきました。
分刻みで動いていたら特急にタッチの差で乗り遅れ、飛行機でギリギリ函館に到着なんてことも。
時間を有効に使って、さまざまな問題解決へがんばります!
【今日の句】 楽天を よそ目に北は 来季こそ
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