2018年10月26日金曜日

ブラックアウトをただす国会調査

 北電は、なぜ道へ全域停電になったと報告しなかったのか。泊原発で過酷事故が起きても、同じことにならないか--そんな思いになった今日の北電調査。国会調査団として笠井亮衆議院議員(党政策委員長)、紙智子・岩渕友の両参議院議員、そして道議団からは真下紀子・菊地葉子の両道議(佐野弘美道議も一部参加)が加わりました。

 北電社内での検証委員会も立ち上がり、説明できる資料も整ったことから今回の調査も設定できました。この1ヵ月半、北電の社員・現場職員さんは大変な苦労があったかもしれません。多くの道民も電気の重要性を再認識したし、命やくらしに直結していることを学びました。北電には、多くの命とくらしがゆだねられているのです。だからこそ同じことが起きないように、検証は厳格にしていかなければなりません。
 
 調査団一行で説明を受けた際に、まず事実の確認で時間を割いたのが「いつ道へ連絡したのか」。あらためて北電の説明資料を見ると、「国および北海道「本庁)との連絡は本部事務局(一部、東京支社経由)が行」うことが基本とされています。しかし道への聞き取りで、全域停電については道が9月6日の午前5時35分ごろに問い合わせて認識となったことが明らかになっています。北電からは連絡していないのです。

 あらためて事実経過を確認すると、午前3時25分に電力供給ができなくなったのですが、北電として全域停電だと確認したのは午前5時に開いた本店での「本部会議」という説明でした。3時25分に電力供給できなくなったのだから、その時点が全域停電の始まりだと普通に思うのですが、その5時までは「大規模停電」だと言うのです。その理屈を何度聞いても、私は理解できませんでした。5時より前にも、電力復旧に努力していたとも説明しているのに。

 それにしても、5時の本部会議で全域停電と確認してもなお、北海道庁へは連絡していなかったことになります。冒頭に書いたように、それで本当にいいのでしょうか。今日は確認しませんでしたが、説明資料には国にも連絡することになっていて、その事実確認も必要です。

 その他にも泊原発に経営資源を投入してきたことが、電源の分散ができなかった背景にないのか問うと「石狩にLNG発電所も建てたし、北本連携線の増強もはかってきた」との回答。道民への謝罪の姿勢も見えないので、私から「医療現場では命にかかわる状況もあった。酪農では大きな被害もあった。責任を感じてないのか」と聞くと、「ご迷惑をかけました」と述べる一方で「国の検証委員会からも答申が出され、社内でも検討を進めたい」とも述べました。

 国の検証委員会は、技術的手順では北電にぬかりはなかったとの結論をまとめていて、その背景にまで踏み込んでいません。これが錦の御旗となってはならないわけで、厳格な検証が必要です。職員が寝ずにがんばっていることと、厳格な検証は分けて考えるべきものだからです。

 停電の被害にかかわっては道庁や北農中央会、道生協連などでも話をうかがいました。北農中央会では主に酪農分野での被害で説明を受けて、生乳の被害が約23億円との試算が出されていることに、あらためて被害の大きさを実感しました。犠牲になった牛も、道の資料でも今後まだ増える可能性があります。

 乳量としては戻りつつありますが、今年6~7月の低温・長雨の影響で牧草の育ちが悪く、そのエサがこれから食べるものとなるので量質ともに不安が広がっています。そのなかでの停電被害だったわけで、各地の組合長さんからは現場の実態をふまえた厳しい意見があったとも聞きました。

 道生協連では、物流や商店などの影響とともに、道と物資支援協定を結んでいることも話題になりました。協定にもとづき、おにぎりを作るはずが停電のため作れなかったのです。悔しい思いがにじむようなお話でした。国の検証委員会の結果についても話が及んで「火力発電所の設備自体に触れていないのではないか」などの指摘も。北電に甘いような検証では、多くの道民は納得できないことでしょう。

 同時に、支え合いの協同組合の力が発揮されている話もうかがいました。災害支援の募金が各地から多く寄せられてことに加え、この間、労金や農協などと協定を結んできていることも話題にのぼりました。

 あらためて被害の状況を聞くにつれ、北電の社会的責任を大きさがわかります。だからこそ厳格に検証することは、北電にとってもプラスになるはずです。北電にはBCP(事業継続計画)は、それに準ずるようなものしかない、とも聞きました。こんな状態で泊原発の再稼働なんて、道民は許さないと思います。

 このようなことを、夜の道庁前・反原発抗議行動でも触れてスピーチしました。なぜ道へ報告がなかったのかについて、私の後に「報告がなくても、知事にはわかる関係だったのでは」と皮肉めいたスピーチがあり、参加者からも笑いの声も。こんなことで以心伝心であっては困ります。全道への被害を及ぼしたことなのですから。

 社内の検証委員会で、どのような結果が出されるか注視したい。まだまだ北電の説明も足りません。道だけでなく道議会へも、社長が来て説明責任・社会的責任を果たすことはできないのでしょうか。道民の命とくらしに責任を負っている企業だからこそ、こういう時には真摯に向き合ってほしいのです。

 そして、やっぱり泊原発は再稼働してはいけない。これで過酷事故が起きたときに、適切な情報提供ができるのでしょうか。疑念が残りました。

 【今日の句】情報は ブラックボックス 困ります
 

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