福島の実態を学び、北海道でどのような活動を広げたらいいか--北海道からの原発連調査団は私含む5人で、現地では原発問題住民運動全国連絡センター筆頭代表委員の伊東達也さん、原発問題福島県民連絡会代表の早川篤雄さんに案内していただきました。
まずは車に乗り、広野町・楢葉町をめざします。
ちょうど町の堺が20km圏に当たりまして、そこからは一般人は立入禁止となります。
早川さんは楢葉町在住で障がい者支援の社会福祉法人運営にも関わっており、証明書を持参して一時帰宅や作業所清掃などへも戻っているそうです(楢葉町の写真は、早川さん提供のものです)。
震災・事故当日は、いわき市に住む伊東さんの元へ早川さんらが避難したそうですが、国道6号線は数珠つなぎで進まず、45分で来れる迂回道路も3時間半かかったと言います。
いわき市は一部が30km圏に入り、当時の混乱もあり市民が自主的にも避難を始め、公式発表でも5万人が当時は避難したと言います。
車で当時の話を伺いながら進むと、平(たいら)地域では空間線量が0.19μS/hを示していました。いわき市は、現在0.18ぐらいだそうです。
3分走ると0.21、もう少し走ると0.24‥‥どんどん近づくに連れて数値が上がります。
もちろん地域によっては値が下がるし、トンネル内でも一気に値が下がるなどあります。
広野町へ入ると0.5μSv/hを示しました。
広野町は人口約5400人で、避難準備区域が解消されて4月から役場や学校などの再開を予定しています。
しかし戻っても仕事はあるのか、子どもの被ばくは大丈夫か、店を始めても売れるのか‥‥などで、どれだけの方が戻るのかわからない状況です。
「今日は風が強いので、付着していたものも飛んでいるんでしょう」とは早川さん。
検問所の警官のヘルメットには「山口警察署」と書かれており、全国からの応援体制がとられています。
この検問所から右に曲がればJビレッジでして、ここが作業員らの「前線基地」(伊東さん)となるわけです。
楢葉町の現状ですが、早川さんの話をまとめると以下のようです。
●自分も水田を持っていたが1年間何もできず荒れ放題(写真)。もう1年このような状況が続けば、元に戻せなくなる。
●町の中は誰1人いない。車で原発へ向かう作業員が通るのみ。歩道を歩く人もいない、信号は点滅してるだけ。
●地震の後片付けもされていない(写真)。瓦屋根が壊れている家は、一時帰宅の際に少し補修しているようだが、町は震災の日のままだ。
現実の言葉は重く、こんな簡単にまとめられる内容ではありませんで、書いた中身も一部です。
話を聞く瞬間にも、そばを作業員・関係者の車が行き交い、第一原発に運ぶのだろう人1人が立ってもスッポリ入れるような管をいくつも運ぶトラックも見かけました。
いわき市に戻ると0.5、0.3と下がっていくわけですが1μSv/hに慣れたせいか、ふと「下がって良かった」と思いました。
でも、この値でも徐染が必要なわけで、自分の感覚がずれていることにハッとします。
いわき市では、津波被害を受けた四倉地区や久之浜地区を通りました。
土台しか残っていない地域を抜けると、久之浜漁港に到着です。
水揚げ市場は復旧されていませんが、小型の漁船が港には並んでいます。
午後だから漁に出ないのではなく、この1年間、漁に出れないでいるのです。
「すぐ船を沖に出せて、津波があっても7割の船が大丈夫だった。宮城や岩手は7割の船がダメになった。しかし放射能汚染で、その7割の船も漁に出られない」とは伊東さん。
船があっても漁に出られない、漁師の方の無念さが心に残ります。
津波被害に加え原発被害という「二重の苦しみ」を、目の当たりにした感じです。
伊東さんのお宅に戻り、よく詳しく専門的にも話をうかがいました。
何より原発事故は「水害・火災などの被害概念とは、違う概念を持つ必要がある」との伊東さんの指摘は、各地を回るなかで痛感しただけに納得です。
福島県の復興計画には「人類史上経験のない災害」と規定されていますが、行政でさえ認める現実の重さを、もっと強調しなければならないと思います。
賠償、内部被ばく、交通網寸断、ヨウソ剤配布と使用、中間貯蔵施設、子どもの放射能検査‥‥それぞれで福島・いわきの現状を伺いました。
運動面での大きな問題は「住民同士の関係」です。
避難する人・残る人、それぞれの理由や事情があります。
しかし、それが感情的にもつれたりするなどもあり、本来は向かうべき責任の当事者=東電や国に目が行かないこともあります。
良くも悪くもマスコミ報道に動揺せず、住民運動のリーダーたちがどう県民・国民をつないでいくか--そのような話を重く受け止めました。
2日目は、市議・市職員さんから現状と課題を伺い、仮設住宅なども回る予定でいます。
北海道で何ができるか、考えながら役目を果たしたいと思います。
【今日の句】 風景は 変わらぬままの 春なのに
0 件のコメント:
コメントを投稿