あまり報じられていませんが、日高昆布や噴火湾の養殖ホタテがピンチなのです。台風被害の現場に足を運び、つくづく感じたところです。
昨日は新ひだか町の有勢内(うせない)・春立(はるたち)地区と、ひだか漁協へ。
今日は洞爺湖町といぶり噴火湾漁協、森町では砂原漁協と森漁協にも足を運びました。
まず昆布の台風被害なのですが、昆布そのものというより干場(かんば)の流失と、護岸提の破壊がすさまじいのです。
昆布は乾燥施設による乾燥もありますが、天日で干すことで増す旨みを大事にするには干場が必要になります。
見た目は砂利を引いているだけに見えますが、地域にとっては大事な大事な生産手段。
高潮・高波により、まず護岸提が崩壊し、流木や海岸ゴミなどが干場を押し流し、場所によっては砂浜のようになっている干場までありました。
写真でわかるでしょうか、有勢内地区で撮った写真ですが、もともとはテトラポットも見えないほど地盤が高く干場としていた場所なのに、テトラポットも崩れ地盤も壊れ、今や干場どころか手前の住宅にまで浸水しかねない状況なのです。
「この地域では一番若いのさ」という70代の昆布漁師さんに聞くと、屋根だけ残って昆布小屋が流されたりもしたそうです。
この地域で平均的な干場に入れる砂利の量は、トラック20台分。
1台5万円ほどで、漁師にとっては100万円にもなる新たな投資が必要になります。
さらに驚いたのは春立地区。
行く途中で、土台から1m流された小屋もあり、一番ひどいと思われる場所は護岸提が引き波で海側に倒れて(!)、テトラポットまで河口付近にゴロゴロと流されています。
「もう想定外などということは考えてはいけない」
ひだか漁協の中村敬専務理事がくり返した言葉に、このような現場を私も思い起こしました。
干場は個人資産とみなされれば国の支援は難しくなるのと、仮に現状復旧ができるとなれば「現状」とはどの程度かを示さなければいけないため(普通は整った干場の写真を撮っている人などいないわけです)、航空写真なども用いて準備をされていました。
日高地域は、すでにJR日高線も被害を受けていましたが、台風10号で清畠地区や駒場地区で線路流失・破損などが起こり現場を見ても無残なものでした。
つまり感じたことは、いち自治体やJR北海道だけでなく、国が責任を果たすことが重要だということ。
左の写真は、流された昆布が砂浜で放置せざるを得ずに乾燥しつつあるものです。
昆布漁師からすれば、これほど悲しいことはないと思います。
何しろ、今シーズンは3~4日しか出られないまま今年の昆布漁を終えることになったのですから。
護岸提崩壊は噴火湾でも同様で、テトラポットが崩れた洞爺湖町の前浜は、越波すれば洞爺湖駅前の方が土地が低いため国道までも冠水するため早期復旧が求められています。
養殖ホタテは、噴火湾の周辺自治体一帯で被害が起きてますが、同時に重要な問題は昨年以上に斃死(へいし)が起きていることです。
理由は水産試験場も調査中ですが、ただでさえ斃死が多い状況に台風被害で耳吊りホタテがからまったり団子状態になったりで、生産量の減少が見込まれています。
しかも、その規模が5割~7割減かという試算も。
中国などの需要が高く、昨年は単価も高かったため生産量が少なくとも「一服」できた漁師も、今年はどうなるかは検討がつきません。
噴火湾の養殖ホタテは、多くは2年で出荷するのですが、いま稚貝(赤ちゃん貝ですね)が確保できなければ2年後はさらに大打撃になるということです。
だから資材や資源を今のうちに買い揃える必要がありますが、その費用を出せるのかが重大問題。
台風被害の復旧に加え、経営問題も重なるわけですから、複合的な支援が必要だと思いました。
まだ道内を回りきれてはいませんが、くらし・農業・水産などの被害は自分の中に叩き込まれました。
北朝鮮の核実験に対し抗議の意思を示す本会議や閉会中審査なども検討されていますが、災害対策でも政府へきっちりと反映させなければと痛感しています。
私も週明けすぐに、今回の調査をふまえて政府の対策や現状を聞く機会をつくりたいと思います。
【今日の句】 海からの 恵みで我ら 生きている
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