調査の目的は、この時期に加工原料乳生産者補給金の単価や限度数量などを決めることから、農水委員会で毎年この時期に審議をしているのに合わせて実態などを把握することです。
生乳は飲用と加工用に分かれますが、主に本州は飲用に使われ、生産量の多い北海道は生乳の多くが加工用にまわります。
加工されれば保存も可能となるため、価格は飲用よりも下がります。
これでは酪農家が経営できませんから、指定団体を通じてお金=加工原料乳生産者補給金が支払われます。
この額が近年は高めだったため、各地の酪農経営も少しは安定した状況となりました。
ところが今年の通常国会で、一定の国の基準のもとで集乳する指定団体以外へ出荷した場合も補給金をもらえる制度に変わりました。
酪農家の「売り先」が増えたように思えますが、今まで指定団体が集乳することで得て来た価格交渉力の低下や、需給調整の乱れが懸念されます。
大量生産している北海道は安価な飲用乳も提供できますが、それが本州へとドンドン広がれば本州の酪農家が経営できなくなります(これをかつて「南北戦争」と呼んでいました)。
加工用にまわすことで需給調整も可能になり、その分を「補給」する仕組みが現行制度なのです。
数年間、酪農家の離農・離脱が相次いで、これでは北海道酪農の生産基盤が崩壊すると不安が広がりました。
その現状を反映して、この間の補給金は高めの設定となりました。
現状は抜本的に好転しているわけではないのですから、最低でも現状の維持以上が必要です。
しかも11ヵ国によるTPP「核となる事項の合意」や日欧EPA「大枠合意」、そして米国からのFTA協議も懸念されるなか、国内対策だけでは酪農の現場も耐えられません。
輸入自由化一辺倒の路線を、今こそ見直すべき。
酪農王国の北海道は、地域での関連産業も盛んです。
酪農家への打撃は、地方経済への打撃にもなります。
このような点なども、明日はしっかり議論しあって田村議員に託したい。
それにしても、これだけ調査もしっかりするのだから、野党の質問時間を削るような
ことなど許されない!
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