2019年11月28日木曜日

安心して住める地域に

 渡島地域キャラバン最終日は調査・懇談を中心に。函館市から厚沢部町へ、夜には札幌に着きましたが雪が積もっていたんですね。歩行も交通もお気をつけください(滑って路肩に落ちていた車がありました)。

 初めに向かったのは函館市国際水産・海洋総合研究センター。市などが出資して財団をつくり、産官学の交流拠点となっています。市戸ゆたか・富山悦子の両市議と本間勝美・元市議とで足を運び、備前悟事務局長がセンター内を案内してくださいました。

 15年前に水産・海洋都市としての構想を具体化し、マリンサイエンス分野での拠点としての機能を発揮しています。センターへ着いた時、ちょうど北大水産学部の研修船「おしょろ丸」が出港するときで、私たちも駐車場からお見送り。海原に向かっていく船の姿は、何だか格好いいものでした。

 センター内は研究室や解剖室、大型水槽施設に小規模水槽などなどの設置や、大学や民間が同じスペースに同居していることでスムーズに情報交換ができるようにされています。イカの不漁に悩む道南地方ですが、まだイカは養殖できるまでに至っていません。まだまだ海の生物には解明できていない部分があるのです。基礎研究はじめ研究成果は時間をかけないとわからないだけに、あらためて公的に支える必要性を確認しました。

 紺谷克孝市議も合流して、今度は函館市医師会へ。医師会病院が、公立・公的病院の再編統合リストに名指しされたことと合わせて、道南地域の地域医療体制の課題などもうかがいました。実は来年度から函館市医師会看護専門学校にリハビリテーション学科を新設して開校することもあり、その点もあわせて興味深く話をうかがったわけです。

 理学療法士や作業療法士も、医師と同じく都市部の大学などに通うことが多いこともあって、そのまま残ってしまい出身地域に戻ってこない方が多いとのこと。道南地域としての医療圏を考えたときに、リハビリ学科を開設することにしたというわけです。再編統合の課題とあわせて、地域医療を維持していくことの議論と国による財源確保を急ぐ必要があるとの感想を持ちました。

 厚沢部町には、新幹線の札幌延伸にともなうトンネル工事で出てくる残土についての調査に。小野寺真・江差町議と佐藤智子・八雲町義が同行してくださり、鉄道・運輸機構の職員に残土置き場へ案内してもらいました。厚沢部町から出る残土とともに、来月から八雲町から出た残土を受け入れることになっている場所です。

 ヒ素など重金属類を含む要対策土の管理や水質モニタリング、今後の運搬方法や規模などを現地などで確認しました。八雲町での保管風景がテレビに映った際に「ずさんと感じた」(町民)点についても機構側から説明を受けるなどしましたが、この置き場が満杯になっても新しい置き場が必要になるだろうと推測されるほどの土が出るわけで、住民のみなさんの心配も当然です。

 町役場では松橋道雄副町長さんからも、町の考えをお聞きしました。八雲町から来る土も同じ黒松内層のもので、新たな対策を講じる必要もないことから、期間的に先に出てくる八雲町側からの残土を受け入れることにして、この後に厚沢部町側から出る残土については別に対処してもらうことで確認しているとのこと。そもそも膨大な量の土が出てくる工事であることと、それを前倒ししようという政治的背景が、自治体や住民へのしわ寄せになっている構図なのだと実感しました。

 ちなみに厚沢部町国保病院も、公立・公的病院の再編統合に名指しされた病院です。人口減少のもと学校も町に1校・1学年1クラスという状況で、患者とて少なくなれば病院経営も苦しくなるのは当然ですが、地域に病院がなくなってはいけないと町も医師確保や財政支援などに力を尽くしています。こういう苦労にこそ厚労省は寄り添ってほしいのに。厚沢部町ではありませんが、ある病院関係者からは「広大な北海道の状況など、厚労省はわかっていない」との声も聞きました。

 地域を維持していくことの大変さを、ひしひしと感じる北海道。もうからなければ切り捨てる新自由主義的発想を切り替えないと、本当に地域に人が住めなくなってしまうという危機感があります。早く政治の大元からの転換をしなければと感じた1日でもありました。

 【今日の句】ウソをつく 総理に不満も 積もりつつ

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