2020年12月24日木曜日

学問は政治の下請けではない

 時間が経とうとも、菅首相による日本学術会議への人事介入を許してはなりません。「北海道の大学・高専関係者有志アピールの会」との懇談でも、学問の自由や民主主義の根幹を脅かす重大問題であることが次々と語られました。まったくそのとおりです。

 同会は、安倍政権が集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をした際に、学者・研究者の立場から発信をしてきました。抗議と撤回のアピールを発表した10月の会見には報道記者が多く駆けつけ、その後は国立・私立大学の教職員組合や有志の会、科学者会議、ジェンダー研究会などによる声明やアピールも発表されました。短期間で、これほど多くの抗議や懸念の表明がなされたことは、かつてあったでしょうか。

 「他社の批判を許さない独断的な政権は、やがて行き詰まることは歴史の教訓である」(北大教職員組合)などの鋭い提起や、北星学園大学有志の会アピールでは新約聖書の「あなたがたは真理を知り、真理はあなたがたを自由にする」との一節を引いて、6名を任命するよう求めています。北海学園大学は学部長はじめ、過半数の教員が名を連ねました。

 私からは一言あいさつとともに、志位委員長の質問(11月4日の衆院予算委員会)をまとめたパンフレットをお渡ししました。これまでの法解釈を平気で変えておきながら、矛盾を指摘されると「人事に関することは、お答えを差し控える」と菅首相は繰り返しました。あげくに閉鎖的、既得権益から脱すべきは学術会議のほうだと、矛先を向けるとは何事か。仮に学術会議のあり方が議論したいというなら、透明な形で、学術会議の独立性にふさわしく議論をゆだねるならともかく、理由を示さず人事介入というのは、まさに問答無用のやり方です。その強権ぶりが批判されているのに、菅首相は批判をそらすばかりですから本当に危ない。

 私自身は学生時代、学生自治会を再建するにあたって「学問の自由」「大学の自治」については、先輩などからも教えてもらいましたし、いろんな本も読みました。なかでも滝川事件は典型たるもので、当時の大学キャンパスの自由さからは想像もつかないことでした。学生も含めて学問にかかわる者すべてが声をあげ続けないと、権力者は学問さえも支配し、異論を排除していくものなのです。

 「大学も文科省の顔色を伺っている傾向があり、大学自身のありようも問われてきている」「経済政策でも、学術会議を邪魔者扱いにしている。うまくいかないのを学術会議のせいにすれば大学の変質につながる」「国立大学を、国の単なるイチ機関にしようとしている。国策上で『役立つ』大学に資金が出る状況の見直しが必要」など掘り下げた議論を聞くなかで、私も問題の根深さを学ぶことができました。政府による大学政策とも密接につながっています。

 国立大学は法人化され、資金の獲得も競争的な環境に追い込まれました。そこに資金付きの軍事研究などが目の前にぶらさげられてきました。こうやって少しずつ政府に対する異論をなくし、まさに「政策実現の下請け機関」となるよう狙ってきたと思います。しかし、真理探究の立場からモノを言う学術会議の存在があり、その排除にいよいよ政府が動いたというのが流れなのです。焦点の大学として北海道大学が念頭にあっただろうことも、議論となりました。

 「市民に『自分たちと違う世界』の話と受け止められないようにしよう」「映画監督など文化・芸術にかかわる方がピンと来て声をあげている。教育関係に広げることも課題」など世論を広げる話にもなりました。そうなんです、学者だけでなく国民全体で声をあげるとき。異論排除の姿勢は、国民の利益に反するような政治と根が一つだからです。それがコロナ対策の無為無策ぶりにも表れました。このような政権は一刻も早く変えたい。

 今日は32年前に消費税法案が強行成立させられた日で、消費税廃止各界連絡会として毎年おこなう宣伝にも参加しました。コロナ禍で、くらしも経営も雇用も瀬戸際だという方が増えているもとで、消費税減税もしない政府への怒りを込めたスピーチが相次ぎました。経済をまわすことが大事と言うのなら、消費税減税こそです。

 【今日の句】いつか来た道を 二度とは進まない

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