昨日に続き、十勝管内での調査を記しておきます。全国的にコメ余り=米価下落が大問題となったのに続き、生乳でも同様の心配が広がっています。てん菜でも生産抑制が心配されるなか、本別町にある製糖工場が生産中止・閉鎖を突如発表するなど、不安が重なるような事態が起きているのです。
酪農・畜産では、施設更新や機械購入の際に国が半分補助する「クラスター事業」が続けられてきました。補助を受けるには、増産が前提とされます。こういう誘導策もあり北海道では生乳の生産量が増えてきましたが、コロナ禍による消費減少で脱脂粉乳などの在庫が積みあがりました。学校給食がない冬休みは生乳余りも見通され、生産抑制が議論されてきたのです。
しかし、蛇口を閉めるごとく搾乳は止められません。過去の生乳過剰時には牛を処理した歴史もありましたが、それでは元の生産量に戻るまで数年かかり、同じ轍を踏みたくない農家の思いもわかります。そもそも国が増産を誘導してきたのですから、市場や農協・生産者まかせにしないで責任を果たすことが必要です。
「クラスターで購入した分の返済も始まってくる。心配だ」「燃油高や飼料高騰もありコストも増している。利益幅が下がれば後継者も育つだろうか」との不安の声も聞きました。生産者が不安を抱えている一方で、大手乳業メーカーは過去最高の純利益を上げてもいることへの不満も膨らんでいます。ここでも国が役割を果たすべきです。
てん菜は北海道以外で馴染みがないでしょうが、畑作における重要品目です。畑での連作障害を防ぐために、てん菜・豆類・ばれいしょ・麦を交代で作付けする「輪作体系」が確立しているからこそ、豊かな実りが保障されます。ところが今、てん菜生産がピンチなのです。
糖類支援の仕組みは複雑で、外国からの加糖調製品にかかわる関税相当分を、国内での支援に充てています。つまり、国内支援を増やすためには輸入を増やすということになるのです。健康志向の反映などで糖類控えもあるなか、国内生産糖の消費が減ってもきました。しかし、減産は輪作体系を壊すことになるだけに消費拡大が求められてきたのです。
そんな矢先に今年8月、北海道糖業が2023年3月をもって本別町での砂糖生産を終了すると発表。収穫されたてん菜は集積して北見工場などへ輸送するとのことですが、地域の働く場が減ることや、その集積もいつまで続くかの見通しもわかりません。実はてん菜の搾り粕(ビートパルプ)は乳牛用の飼料にもなっているので、この確保も問題になります。
「国は違う作物をつくれというが、輪作体系を壊すことになる」「てん菜は収穫時期が遅いため、他の作物と重ならないのが利点。違う作物となれば収穫時期が集中してしまう」などの実態があります。その現実を国は知ってるはずですが、生産数量の減少が検討されている背景は、TPPなどによる関税削減で支援額が減らざるを得ないこともあります。
それなら国が支援を強めればいいものを、しようとしない。各地の懇談で「国は食料自給率を上げる気がないのでは」「自動車産業は支援される一方で、農業は泣かされてきた」との痛切な思いを、しっかり反映しなければ。議員バッジはなくとも、紙・岩渕の両議員などとも連携していきます。
26日には上京して党道議団と政府交渉もおこない、昨日に記した赤潮被害への支援なども訴えてきます。
【今日の句】食までも 自己責任の 国変えよう