2015年10月8日木曜日

宝の海を取り戻そう

 昨日・今日と、諫早干拓事業による有明海漁業などの調査で長崎県・佐賀県へ。北海道の荒天で被害が広がっていないか心配しながら、東京へと到着しました。

 今回の調査は、斉藤和子衆院議員と私との衆院農林水産委員会コンビ、地元の九州から田村貴昭衆院議員・真島省三衆院議員(8日のみ)・仁比聡平参院議員(7日のみ)で「こんなに国会議員がたくさん来たのは初めて」とのこと。

 諫早干拓事業のため「ギロチン」とも形容された、7kmにも及ぶ潮受け堤防で諫早湾が閉め切られたのは1997年4月。

 すでに18年以上も経ち、その間にノリの歴史的不作、休漁となったタイラギ漁はじめ深刻な漁業被害、国が確定判決にも従わない異例事態など、一刻も早い解決が求められている問題です。

 調査の目的は、①干拓事業や漁業の現状把握、②農漁共存の可能性を探る、③深刻な被害を受けている漁業者からの聞き取りと交流、などです。

 ちょうど今月5日に福岡高裁が、国と有明訴訟団との和解協議を書面で勧告したばかり。

 TPPやノーベル賞などの影に隠れていますが、事態を動かす大きな情勢の変化なのです。

 確定判決上は、国が開門の義務を負っています。

 しかし開門禁止仮処分もあり、2つの相反する義務を負っているので最高裁の統一的な判断を求めたい、というのが国の言い分。

 しかし、開門確定判決が出たのは2010年。

 じゅうぶんな期間はあったはずです。

 相反する判決が出るのは裁判でもあり得ることで、そうなれば和解協議という道に進むのは当然のことではないのでしょうか。

 この間も、裁判所は国に対して話し合いを促してきましたが「地元の開門反対の声が強く、こういう方が参加しない話し合いには応じられない」と繰り返すばかり。

 そこで業を煮やした裁判所が、これまた異例と言える書面での勧告ということです。

 このようなタイミングで行った調査だけに、その意味がスッと理解できる調査となったと思います。

 現地に行くことで、地図や写真でしかわからなかった位置関係、五感を通じて得られる情報は、自分の頭のなかでも最大の説得力となりました。

昨年、仁比参院議員が質問した農漁共存に向けた中央用水機場を軸にした、農業用水の確保についても理解が深まりましたし、現実的な案として肉付けして考えていきたい。

 何より漁業者のみなさんとの懇談で、解決の緊急性を実感しました。

 写真にある油絵は、泊まった宿での「夫婦船」の1枚。

 タイラギ漁は、船に乗った妻が空気を送りながら潜水漁をするものです。

 命綱ならぬ命をつなぐ空気を送って漁をする、夫婦や家族の信頼があって成り立っていたのでした。

 遊漁船に乗って、湾内から周囲を見回すと長崎・佐賀の山々から水が流れ込み、栄養豊富な海だったことがわかります。

 それが潮受け堤防の影響を受けて、貧酸素化などによる影響が漁にあらわれはじめます。

 瑞穂漁協では、20年前に120トン水揚げしたアサリは、昨年はわずか3.4トンに。

 始めたカキ養殖も実際に見せてもらいましたが、ホヤが付いたり苦労続き。

 国による特別対策事業で、ナルトビエイ調査などをやりながら経営も生活の成り立たせている状況なのです。

 いや正確には「成り立たせている」という状況でもない。

 生活費もそうですが、「宝の海」と言われるほど豊かな有明海で漁ができなくなる状況が、漁師としても悲しいし悔しいのだと、お話を聞いて痛感しました。

 歴史もあり、代々引き継がれてきた漁法もあるし、次の代にも引き継げればと思っていたのに、それが自分たちの代でダメになるかもしれない。

 やむにやまれぬ思いから訴訟に立ちあがった意味こそ、国は受け止めてほしい。

 干拓農家の方に開門して大丈夫かとの不安もあるので、仁比質問のような中身で農漁共存の道も提案はされてきています。

 国が腹を固められるかどうか、そして森山・新農水大臣はどのような決断をするのか。

 まずは勧告に従い、話し合いを開始するかが大きな焦点です。

 参加した国会議員、地元地方議員などとも話し合い、それぞれの持ち場でやるべきことを確認しあいました。

 TPPは予算委員会の閉会中審査となるそうですが、そもそも半数の閣僚を交代して所信も聞いいて審議する必要があるのですから、早期に臨時国会を開くべき!

 【今日の句】 活躍を 言うなら開け 国会を

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