2016年11月10日木曜日

TPP審議状況(11/10)

 採決はしたけど、政府・与党に展望はないでしょう。国民のくらしや命よりも多国籍企業の利益のためというTPPの正体を、さらに多くの方に知ってもらわねば!

 今日の本会議前に、野党4党で山本農水大臣不信任決議案の提出を確認。

 日本共産党からは穀田恵二議員と私とが提出者に加わり、本会議では斉藤和子議員が賛成討論に立ちました。

 それにしても数の力で開会までレールを敷き、世界情勢の変化があろうとも突き進む政府・与党の姿勢は、とても理解しがたい。

 それでも今年の通常国会から半年間、衆議院で採決できなかったのはは、国民世論の力があったからだと思います。

 政府は約300回もの説明会をしたと言いますが、その結果「慎重審議を求める」声が約7割なのです。

 強行採決というのは、このように進まない現状に追い込まれて突き進んだ政府・与党の弱さの表れ。

 与党からも厳しい意見があがっている山本農水相をかばい続けるのも、大臣を代えれば議論をやり直さなければいけないという、安倍政権の勝手な都合によるもので、まさしく国民置き去りではないのでしょうか。

 根本には、国民のくらしや命を守ることと矛盾するTPPの本質があります。

 この間の経過も含めて、あらためてTPPの問題点を、私が反対討論で述べました(以下、全文)。

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 私は日本共産党を代表して、環太平洋パートナーシップ協定及び関連11法案に断固反対の討論をおこないます。


 何よりまず、TPP特別委員会における質疑打ち切りと採決強行に厳しく抗議するものです。「わが党は結党以来、強行採決をしようと考えたことはない」と述べた安倍首相の目の前で、国会ルールをふみにじり、慎重審議を求める国民多数の声に背く暴挙がおこなわれたのです。

 そもそも山本農水大臣の二度に渡る暴言は、国会と国民を愚ろうするものです。辞職は当然です。にもかかわらず、政府・与党から事態の打開についてゼロ回答とはとんでもありません。そのうえ米国では、TPP離脱を明確に口にしたトランプ氏が次期大統領に選ばれました。TPPによって雇用が奪われることへの、米国民の怒りと不安が反映したものです。米国のみならず、日本でも各国でも反対や批判の声が広がるなかで強行に採決へ突き進むとは、まさに愚の骨頂ではありませんか。

国民への説明責任は果たされていません。国会で問題点を明らかにするべく責任を投げ捨てる、自民・公明による強引な運営に対して、満身の怒りを込めて抗議するものです。
 委員会質疑を通じて、TPP協定の重大な問題点が明らかになりました。


 第1に、TPP協定の原則は関税撤廃であり、国会決議に真っ向から反するということです。決議は、農産物の重要5項目を「除外又は再協議」とし、「10年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も認めない」ことを求めていました。しかし、TPP協定には「除外」も「再協議」もなく、重要5項目のうち3割で関税が撤廃され、残り7割でも関税率の引き下げなどにより「無傷」な品目は一つもないと政府は認めました。乳製品や林産物・水産物のなかに、10年を超える段階的な関税撤廃品目があることも認めました。

 政府が勝ち取ったというセーフガードなどの「例外」も、発効7年後の再協議規定で撤廃に向けた協議が約束させられています。小委員会や作業部会などで、協議の対象となることを政府も否定しなかったではありませんか。

 決議では「交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告する」ことも求めています。しかし、交渉経過は「黒塗り」文書でやり過ごし、審議を通じても「交渉の中身については言えない」との一点張りで、国会にも国民にも限られた情報しかもたらされていません。

 さらに、SBS輸入米での価格偽装疑惑によって、政府試算の前提は覆りました。再調査も、再試算さえもしない政府の姿勢に、コメ農家の怒りや不信が広がっています。
これがTPP協定のまぎれもない結果であり、国会決議違反であることは明白ではありませんか。


 第2は、TPP協定が「食の安全」をはじめ、国民のくらしと命、健康を脅かすことです。
 TPP発効で、輸入食品や遺伝子組み換え食品の急増は明らかです。輸入食品の9割以上が無検査のまま流通し、残留農薬基準違反でも消費されている驚くべき実態がある現状で、政府は「食の安全」を守れる保障を示せなかったではありませんか。

 日米二国間の交換文書で将来の保険制度の協議を約束し、国民皆保険制度が崩される危険があります。米国の製薬企業が薬価決定に影響を及ぼし、薬価が高止まりする懸念は否定できません。助け合いの精神ではじまった共済事業が民間保険との競争のもとで、制度の見直しが議題になる可能性も政府は認めました。きわめて重大です。


 第3に、TPPの効果は、日本の企業の圧倒的多数を占める中小企業には恩恵が及ぶどころか、取引先の多国籍企業による海外展開につき合わされ、国内の産業空洞化がいっそうひどくなることです。

 政府は、技術力などをもった中小企業が「いながらにして海外へ展開」することの後押しになると言いますが、現在、海外展開している中小企業はわずか0.9%に過ぎず、9割は海外展開の必要性さえも感じていません。

 また、安い農林水産物の輸入によって、農林漁業を基幹産業とする地域では食品加工や流通・運送などの中小企業に打撃が及ぶことは、火を見るより明らかではありませんか。


 第4は、多国籍企業や投資家が損害を受けたとして、投資先の国を訴えることができるISDS条項が盛り込まれていることです。

 質疑で明らかになったように、米国政府が訴えられても敗訴した事例は1つもないなど、米国とその多国籍企業に有利な仕組みとなっているのが実態です。最低賃金の引き上げや原発ゼロ政策などに対してまで訴えが起こされているのが世界の現実です。濫訴の歯止めとなる保障はまったくないばかりか、各国の経済主権が侵害されることは明白ではあり、断じて認められません。


加えて重要なことは、政府自身が「生きた協定」と述べてきたように各種小委員会や規制の整合、TPP委員会などの仕組みによって、発効直後から、TPP協定そのものが変えられていくということです。政府は「国内の制度は変更を迫られない」とか「国益に反する再交渉はしない」などと述べてきましたが、何の保証にもなりません。TPPの本質は、あらゆる関税と非関税障壁の撤廃にあるからです。


 そのうえ、政府調達・公共事業、環境や労働にかかわる論点は審議さえもされていません。国民のくらしと命にかかわる問題についてじゅうぶんな審議をせず質疑を打ち切るというのでは、国民に問題点を明らかにすべき国会の責務を果たしたとは到底言えません。


 最後に、国民のくらしや命よりも多国籍企業の利益のために、日本の経済主権・食料主権を脅かすTPP協定は断じて認められません。いま世界では、行き過ぎた貿易至上主義に対する反対の声が沸き起こっています。各国の経済主権を尊重しながら民主的で秩序ある経済の発展をめざす、平等・互恵の貿易と投資のルールづくりこそ世界の流れです。日本が進むべき道は、TPPではありません。

 日本共産党は引き続き、TPP協定の全容と問題点を明らかにするとともに、国民の世論と運動と固く結んで批准を阻止する決意であることを表明して、反対討論を終わります。

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 明日は参議院に舞台を移し、代表質問がおこなわます。

 日本共産党は、紙智子参議院議員が質問に立ちます。

 いま一度、国会での条約などの取り扱いについて確認すると--

 ●会期末(11/30)までに、TPP協定と関連11法案の採決がされれば成立となります。

 ●しかし、会期末までに採決・成立できない場合は廃案になります。

 ●なので、その場合、政府・与党は国会の会期を延長するでしょう。

 ●条約は、今日から30日間のうちに採決できなければ、衆議院の優越があるので自然成立となります。しかし、関連11法案は国会を延長しても採決・成立できなければ廃案となります。

 ●日本はじめ各国は、協定本文とあわせ国内法の手続きも一緒に成立しないといけないので、条約だけ批准できても国際的には「発効の条件が整わず」となります。

 ですから参議院で、引き続きTPP協定の全容と問題点を明らかにしつつ、批准させない道はあります。

 カギは、国民世論の広がり。

 数の力があるので、与党だって通そうと思えば、いつでも通せるのです。

 ここまで採決の期日が延びたのは、山本農水相の暴言などもありましたが、国会は立法府の最高機関として民主的に運営されるべきと訴えてきたからですし、最初に書いた国民世論の反映が何より大きいことは間違いありません。

 野党議員として私も引き続き役割を果たしますが、ぜひ与党議員に対して「なぜ賛成したのですか」とお聞きになってみてください。

 そして、まわりの方にTPPの問題点などをお広げください。

 世論の高まりによって私たちの質問にも説得力が増すし、そのために私も、さらに発信していきたいと思います。

 ずっと質疑を通して実感したことは、間違いなく政府・与党は追い詰められているということ。

 参議院に応援もして、まだまだ私もがんばります。

 【今日の句】 あてもなき 暴走列車は 破たんする

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