衆議院では各委員会での質疑が始まりました。農水委員会で、与党側が急いでいる1つが主要農作物種子法の廃止!
一般には知られていないような法律ですが、食と農にかかわる重要法の1つです。
主要農作物とは稲・麦・大豆を指します。
この法律の目的は、農水相の資料曰く「戦後の食糧増産という国家的要請を背景に、国・都道府県が主導して、優良な種子の生産・普及を進める必要があるとの観点」から制定されたもの。
今回、廃止する理由とするのは、●種子生産者の技術水準の工場により種子の品質は安定、●農業の戦略物資である種子については、多様なニーズに対応するため、民間ノウハウも活用して、品種開発を強力に進める必要、●都道府県による種子開発・供給体制を生かしつつ、民間企業との連携により種子を開発・供給することが必要--としています。
しかし、いずれも廃止の理由とはいえず、現行法に「民間企業との連携」を加えれば済むと思われます(その賛否を別として)。
結局は、民間側から見て、公的な開発・供給が参入の障壁だから廃止する、ということ!
今でさえ民間企業は種子の開発をしているし、国際的に見れば大手メジャーの独占状態にあります。
1つ、現状を紹介しましょう。
2014年の商品種子市場は、モンサント・デュポン・シンジェンタはじめ上位8社が73%を占めるようです(各社の年次報告書などを参照)。
モンサントやデュポンは大手農薬メーカーでもあります。
農薬に負けない種子をと、両面から開発する「メリット」があります。
だから種子は、農薬企業にとって「戦略商品」となります。
そこで出るのがGM(遺伝子組み換え)作物となるのですが、すでに米国ではGM品種の作付けが大豆で94%、トウモロコシで92%とまで広がっているといいます。
種子を制するものは食を制する、のです。
ここまで囲い込むと競争が働きませんので、米国農務省の統計でも種子価格の上昇が見られます。
モンサントから「特許使用料」「技術使用契約」などが農家は結ばれることにもなっていて、交雑・混入してしまった農家には「特許権侵害」として訴えられる可能性は排除できません。
そもそも交雑・混入を防ぐのは大変で、農家が非GM種子を使いづらくなる--これが米国で進んでいる現状ではないのか。
日本では種子法のもと、各地の農業試験場が大きな役割を果たし、安定的な種子と食糧の生産が可能となりました。
科学が進展すれば民間も含めて、技術が「成熟」するのは当然ですが、しかし公的役割を廃止することは必要ありません。
特に市場経済・資本主義の社会にあっては、種子も「戦略物資」として、もうけの手段になるのですから。
もちろん安全性が担保されるのか、という観点も必要です。
まだまだ多くの疑問や問題があり、種子法の廃止。
今国会で農林水産委員会にかかる法案が多いため、種子法は今月中旬に衆議院の通過、下旬から来月始め?には参議院で可決、という与党のスケジュールでしょう。
論戦もあるので、こちらの手の内をすべてさらすわけにはいきませんが、できるだけ問題点を私からも発信するので、まわりの方に急いで広げてください!
【今日の句】 食の元 握る大手に 要注意
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