2018年5月8日火曜日

TPP11が持つ危険

 野党が出席し、まず衆院本会議でTPP11関連法案の審議が始まりました。すでに承認案は先月、審議入りしています。一昨年あれだけ追及した者の1人として、あらためて多くの方に危険性を知ってもらいたい気持ちでいっぱいです。

 TPP11は、以前のTPPから①米国が抜けた、②ISDS条項など22項目が「凍結」された、ことが特徴です。とはいえ経済主権・食料主権を脅かす危険性が消えたわけではありません。日本農業には厳しい現実が待っています。

 そもそもTPPに対しては、国会で決議があげられました。日本共産党は反対しましたが、例えば次のような項目があります。

 「一 米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。」

 私は一昨年の衆院本会議で、次のような反対討論をしました。
 「TPP協定には『除外』も『再協議』もなく、重要5項目のうち3割で関税が撤廃され、残り7割でも関税率の引き下げなどにより『無傷』な品目は一つもないと政府も認めました。乳製品や林産物・水産物のなかに、10年を超える段階的な関税撤廃品目があることも認めました。」

 国会決議にも反していることに対して、安倍首相は「機械的な基準で判断するのは適当ではない」(紙議員への答弁)と開き直り、しかも対策をとるから「再生産可能となる」と言い訳していました。

 政府が出した試算は「対策後」のものです。「対策前」に、どれだけ日本農業に被害が出るかの試算は明確にしていません。これでは「対策」の効果を検証さえできません。そもそも「対策後」に、米の影響は「ゼロ」だなんて農家は誰も信じません。一昨年は、SBS輸入米の価格偽装問題も発覚し、試算をやり直すべきでしたが政府は拒み続けました。

 しかも、TPPを「これからの通商交渉の基準」として政府が明言したために、米国との二国間交渉は、さらに輸入数量を引き上げられる口実ともなってしまいました。二国間交渉に持ち込みたくない日本政府は、米国にTPP復帰を働きかけるとしています。しかし、その際も見直し要求は出てくるでしょう。がんじがらめの状態です。

 安い農産物を無秩序に輸入となれば、日本の農業を守れるのでしょうか。今でさえ食料自給率が38%なのに、低下は避けられません。地域の農業が成り立たなければ、地域社会も地域経済も縮小していくのは明らかです。だから諸外国でも「食料主権」を守る立場から、価格保障と所得補償をおこなっています。その「岩盤」さえ日本政府は取り除き、自己責任で「もうかる農業」をおこなえというのですから、まさに「亡国のTPP」と言ってきたわけです。

 この中心点はTPP11となっても変わりはありません。徹底審議のうえ廃止となるよう、世論の高揚に私も力を尽くしたい。それが、国会で論戦の先頭に立ってきた私自身の責任だと感じています。

 今日は党道委員会での会議に終日参加。新しい政治をつくるための決意を固め合った会議となりました。

 【今日の句】ごまかしの 影響試算じゃ なかったか

0 件のコメント:

コメントを投稿