「沖縄の負担軽減」を理由に、矢臼別演習場へ在日米軍の訓練が移転され、今年で15巡・12回目となります。「固定化しない」との約束だったにもかかわらず、これだけの年数は事実上「固定化」とも言える状況ともなってきました。
もともとは沖縄県道104号線越えで実弾演習があって、そのたびに「国道を止めるため訓練中は通れなくなる」と問題になっていたのでした。
矢臼別など全国5演習場に、その訓練を分散しようと政府が決めたのが15年前。
「固定化」しないために15年のうち「休み」の年があって12回目、というわけです。
訓練の危険性と「固定化」、米軍が起こす事件‥‥などから、地元自治体では懸念や反対の声があがり、その説得のために持ち出されたのが「沖縄と同質・同量」の訓練のみだ、という言い分でした。
演習場周辺の別海町・厚岸町・浜中町・標茶町は、酪農が基幹産業です。
もともと自然の音しかない大平原で、いつなるかわからない砲弾の大きな音は乳牛には大きなストレスになります。
道安保破棄実行委員会・米海兵隊矢臼別演習場訓練移転反対釧根連絡会として、道防衛局へ訓練中止や情報公開、住民の意見を聞く場の設置を求めて要請をおこないました。
「日米安保体制のもとで米軍の体制確保に必要」だから訓練はおこなう、「セキュリティ上の問題があるので、いつ来るとか通るルートとかは言えない」と、これまで同様の回答が繰り返されました。
しかし、港に大型船が着き、道路を大型車が何台も通り、もし訓練の休暇中に町に米兵が繰り出すとなれば、全町民の生活に責任を負う地方自治体としては、何かの際に責任を取れません。
到着時間も「港に着くころに伝える」「防衛局職員が同行するので安全は確保する」だけで、地元自治体の意向は二の次の回答です。
釧根連絡会から「私たちは米兵に地元の声を伝えたいだけ。ゲリラでも起こすような力もないのに、どうして最低限のことも公開できないのか」との訴えも、「支障のないよう必要な情報は、これまでも伝えてきた」との回答にとどまりました。
2年前の訓練のときは、着弾地点も外れて山火事が頻発するということも起きました。
しかし米側は「訓練に火災はつきもの」と謝罪もなく、日本側から抗議したという明確な内容も見えません。
もちろん問題の根本には、日米安保条約と言う「日本への不平等条約」があります。
アメリカの軍事要求・経済要求に従わされ、主体性なき外交姿勢は、国際社会でも「日本を知るならアメリカを見ればわかる」とも言われる有様でした。
独自の外交ルートを持つ点でも弱く、それが今の北東アジアをめぐってもアメリカ頼みになっていると多くの指摘もあります。
日米安保条約を破棄するまででなくても、「地元自治体に情報を公開する」「事故や火災は、米側できちんと保障する」「これ以上の訓練の拡大はしない」ぐらいは、地元の不安に応えるうえでも必要なことだし、要求して問題ないことではないでしょうか。
日本共産党は、対等・平等の日米関係に切り替えることを求めています。
不平等な日米安保条約をやめて、友好協力条約に切り替えます。
日米安保条約の第10条には、どちらかの国が終了を通告すれば、1年後には条約は終了されることが明記されています。
手続きとしては、日本側の意思がまとまれば新たな日米関係はつくれる、ということです。
問題は、その国民的合意と政治の転換。
日本共産党の全面的な考えはこちらをご覧ください。
安保条約破棄とともに、どうアジアでの平和環境をつくるかも述べています。
「安全保障は軍事によって」という考えを抜け出して、国際社会が進めている共同と連携の「平和的安全保障」の立場をめざします。
外交というと難しい問題に思えますが、演習と酪農の関係のように、私たちの生活にも密着する問題です。
それをわかりやすく、明確に道筋を示せるよう、私も努力したいと思います。
【今日の句】 静けさを 切り裂く砲音 誰のため
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