2017年2月27日月曜日

やっぱり安倍政治の転換こそ

 衆議院で来年度予算が可決されましたが、あまりに問題の多いこの予算。本会議での、藤野保史議員による反対討論を載せますね。

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私は、日本共産党を代表して、2017年度一般会計予算ほか2案に対して、反対の討論を行います。

反対理由の第一は、本予算案が、アベノミクスのゆきづまりのしわ寄せを国民におしつけ、暮らしを痛めつけるものになっている点です。

安倍総理は「全国津々浦々で好循環が生まれています」と言いますが、厚労省の「毎月勤労統計」によると、パートを含めた全労働者の平均賃金は、安倍政権発足後、実質で年19万円も減っています。また、総務省の「家計調査」によると、2人以上世帯の実質家計消費支出は、16ヶ月連続で対前年度比マイナスを続けています。日本経済の6割を占める個人消費が冷え込むもとで、「好循環」など生まれていないことは明らかです。

アベノミクスのゆきづまりは、賃金や消費という指標だけでなく、税収や財政面でも隠せなくなっています。16年度第3次補正予算では、税収が当初見込みより1・7兆円も落ち込み、その穴埋めなどで1・9兆円もの国債の追加発行を余儀なくされました。政府は、17年度、所得税収も消費税収も前年度当初より減ると見込んでいます。これは政府自身が、この道をすすめば国民の所得も消費も減ってしまうと認めたことにほかなりません。
 しかも、安倍政権のもとで、財政は健全化するどころか、日銀の異常な金融緩和でつくり出された超低金利に支えられるという財政のゆがみがいっそうひどくなっています。この点からも、これ以上、この路線に固執することは許されません。

 いま日本各地で、貧困と格差が広がっています。とりわけ子どもの貧困は、先進国の中で最も深刻です。いま政治に求められるのは、一刻も早く、この貧困と格差をただすことです。
 ところが、本予算案は、社会保障費の「自然増」分を1400億円抑制することをはじめ、社会保障の各分野で、国民に給付減と負担増を強いています。中小企業対策費も、農林水産関連予算も、昨年より減っています。これでは貧困と格差はますます深刻化してしまいます。

政府は返済不要な給付制奨学金を導入するとしていますが、対象者が極めて限られており、しかも、その財源の一部は大学院生の奨学金返還免除の縮小など今ある制度の改悪によるものです。安倍政権のもとで文教予算は3年連続でマイナスとなっていますが、減らされた予算の枠内でのやりくりでは、他の若者にしわ寄せがいくだけです。今こそ先進国で最低レベルの文教予算の抜本的拡充に踏み出すべきです。

 政府は「働き方改革」を今国会の目玉にしていますが、安倍総理が議長をつとめる「働き方改革実現会議」は、残業時間の上限を年720時間とする案を出しています。これは残業時間の限度を年360時間と定めた厚労大臣告示の2倍もの残業を野放しにするものであり到底容認できません。

反対理由の第二は、「日米同盟第一」の立場で、世界でも異常な米国追随の姿勢を鮮明にしている点です。

安倍総理は、予算審議の最中、トランプ米大統領との首脳会談を行いました。会談では、「日米同盟の強化」が強調され、「日本は同盟におけるより大きな役割及び責任を果たす」ことが合意されました。これは「新ガイドライン」と安保法制=戦争法に基づいて、地球規模での米軍と自衛隊の軍事協力――「海外で戦争する国」づくりをさらに推進するものです。

こうした安倍政権の姿勢は本予算案に如実にあらわれています。一般会計の軍事費総額は5兆1251億円となり、当初予算として3年連続で過去最高を更新しています。日米地位協定の負担原則に反する駐留関連経費である「思いやり予算」、SACO関係予算、米軍再編経費の合計も、3985億円で過去最高です。

大学などを軍事研究に動員するための予算は、対前年度比で18倍に激増しています。日米の兵器の共同開発に日本の研究や技術を動員するなど到底許されません。

首脳会談で発表された日米共同声明は、米軍新基地建設について、「辺野古が唯一の解決策」としていますが、沖縄県民が繰り返し選挙で示した民意を踏みにじり、新基地建設を強行することは断じて許されません。辺野古沖での海上工事をただちに中止し、新基地建設の断念と普天間基地の閉鎖・撤去を強く求めます。

反対理由の第三は、不要不急の大型公共事業を優先し、原発再稼働や破たんした核燃料サイクルを推進するものとなっていることです。

 本予算案は、3大都市圏環状道路、国際コンテナ戦略港湾など、大型公共事業を優先しています。来年度の財政投融資計画は、リニア中央新幹線に総額3兆円の貸付を行うとしています。政府はこの3兆円の償還確実性等についてまともに検討しないまま、技術面でも安全面でも環境面でも問題が指摘されているリニア中央新幹線に巨額の公費をつぎこもうとしています。こんな無責任なやり方は到底認められません。

昨年末、福島第一原発事故の賠償・除染等にかかる費用が21・5兆円にのぼることが明らかになりました。この巨額の費用について、東京電力をはじめとする「原発利益共同体」の企業に応分の負担を求めることもせず、電気料金等の形で国民にツケを回すことは断じて認められません。

 政府は、昨年末、高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を決定しましたが、いつ、どこで、誰が、どういう理由で廃炉を決めたのかいまだに明らかになっていません。

しかも、政府は、「もんじゅ」に代わる新しい高速実証炉の開発にのりだそうとしています。しかし、数十年の歳月と1兆円を超える資金を投入した「もんじゅ」がなぜ失敗したのかについて真剣な反省も総括もなく、世界でも実用化のめどが立っていない高速実証炉の開発に突き進めば、「もんじゅ」と同じ失敗を繰り返すことになるのは明らかです。

東京電力・福島第一原発事故から間もなく6年になります。福島では、いまだに8万人を超える方々が故郷に帰れないままです。原発と人間社会は共存できません。原発再稼働と核燃料サイクルを断念する政治決断を下すことを強く求めます。

いま求められるのは、貧困と格差をただす立場で予算を抜本的に組み替えることです。格差拡大に追い打ちをかける消費税増税路線を転換し、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革を行う。軍事費や不要不急の大型開発にメスを入れ、社会保障、教育、子育てなど、貧困と格差の是正につながる予算を抜本的に拡充することを強く求めます。

文科省をはじめとする天下り問題や大阪・森友学園をめぐる疑惑はますます深まっており、資料提出、関係者の国会招致で真相を徹底解明することはまさに国会の責務であります。

「テロ対策」の名で国民を欺き、国民の思想や内心まで取り締まろうという共謀罪は、モノ言えぬ監視社会をつくるものであり、現代版「治安維持法」にほかなりません。予算審議中に、金田法務大臣が「国会提出後に議論すべきだ」などとする文書を配布したことは三権分立を否定する暴挙です。共謀罪法案の国会提出断念を強く求めます。

さらに、稲田防衛大臣が、南スーダンで起こっている事態を「戦闘」ではなく「衝突」だと強弁し続けていることは、憲法9条違反の実態を覆い隠そうとするものであり断じて許せません。内戦状態が続く南スーダンから自衛隊を直ちに徹底させることを強く求めるものです。

 憲法を無視する安倍政権の暴走は、安保法制=戦争法の強行以降、とくに激しくなっています。憲法をふみにじる政治をこれ以上続けさせるわけにはいきません。日本の政治に立憲主義を取り戻し、憲法が暮らしにも職場にも政治の場にも生きる社会をつくる。そのために全力を尽くす決意を表明して、反対討論を終わります。

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 先立つ予算委員会では、高橋千鶴子議員が「働き方改革」を問い締めくくり質疑に立ち、私が日本共産党としての予算組み替え動議と討論に立ちました。

 予算自体も問題ですが、天下り・共謀罪・南スーダンPKO・森友学園などの問題が噴出し、大臣の答弁も本当にひどかった。

 予算審議は参議院に移り、衆議院では各委員会での法案審査が中心になります。

 私は、閣法だけでも農林水産委員会(8本)+経産委員会(6本)+復興特別委員会(1本)の法案にかかわり、いわゆる「日切れ」法案や野党提出法案も加えれば今のところ17本!

 同僚議員と質問を分担するとはいえ、制度の詳細を頭に入れて今後の質疑に臨むわけで、法案や資料とにらめっこの日々が続きます‥‥。

 【今日の句】 ゆきづまり アベノミクスも 政権も

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