2020年8月1日土曜日

被爆者の救済ただちに

 平和の月・8月。いま特に急ぐべきは、「黒い雨」を浴びて健康被害を受けた方々を被爆者として認めた広島地裁判決を、国が控訴しないで早期救済をはかること。これ以上、高齢の被爆者を苦しめてはならないです。

 原告84人全員が認定されたといえ、提訴した2015年から、すでに16人もの原告が亡くなっています。大雨の地域しか援護対象としない線引きをしたことで、これだけの被爆者が声をあげざるを得なかったのです。判決を見ずに亡くなられた方のことを思えば、国は控訴などしてはならない。

 判決は画期的でした。援護対象区域を定める国に対し、それ以外の「より広範囲に降った事実を確実に認められる」と、線引きの誤りを明確にしたのです。原告らの診断書を見れば「原爆の影響との関連が想定される」と判決を下すのも当然で、「黒い雨」による外部被ばくに加えて、付着した食物摂取による内部被ばくまで触れたことも、政府は重く受け止めるべきです。

 思い出すのは2015年3月5日の予算委員会で、広島出身の大平喜信衆議院議員(当時)が認定制度の見直しを求めた初質問。当事者から具体的に聞き取った内容は、傍聴席で聞きながら胸に迫ってくるものがありました。広島選出の岸田文雄外相(当時)にも核兵器廃絶を迫り、前進的な答弁はなかったものの、質問後に岸田外相が大平さんに何やら語りかけていたのが記憶に残りました。

 時間がかかり悔しい思いもありますが、世論と運動、国会質問などが束になっていけば情勢は必ず変わっていく。国は被爆者の悲願に真剣に応えて控訴せず、被爆者援護行政も国家補償の立場で抜本的に改善すべきです。

 そもそも被爆者援護法では「被爆者」とは直接被爆者のみならず「身体に原子爆弾の放射能の影響をうけるようになった事情の下にあった者」も該当するとなっています。広く救済することが法の理念です。核兵器廃絶とともに、大きなテーマとして北海道からも声をあげていきたい。

 【今日の句】これ以上 無用の苦しみ 与えるな

2020年7月31日金曜日

国会ひらけ、検査ふやして

 歩くだけでじわっと汗がにじむ暑さに負けず、今日は札幌北区へ。「国会を開かないって、安倍首相は逃げてるよね」の声が今日も聞かれました。もどかしさや腹立たしさの思いは私もいっしょです。

 ある方は「買い物以外は外出していません」、別の方は「もう自衛するしかないと諦めています」。そこで「日本共産党は防疫を目的に、検査を広げるよう要望しているんです」と話すと「命を守るのに与党も野党もないんだから、国会をひらいて議論すべきでしょ」とも。本当にその通り。

 ある個人商店では、地域の夏祭りが中止となったためビール販売とサーバーレンタルの、今年の売上げがなくなったといいます。堰を切ったような「政府は何もやってない」との切実な話を、私も切迫感をもって受け止めました。

 「休みが短い子どもたちがかわいそうだ」「病院で働く人たちを支えないと」「飲食店は大丈夫なんでしょうか」などなど、心配や不安の声も尽きません。こういう時にこそ国民に向けた「一国の総理としての言葉」が求められているのに、夜な夜な会合に足を運んでばかりの安倍首相。

 つべこべ言わずに、国民の命と健康を守るために国会をひらいて。そして思いきって検査をふやして。「市民の方が、今やるべきことを知ってるよ」との話に私も納得。こういう声を大きくしていかなければ。

 【今日の句】やる気ない 総理はいらん もういらん

2020年7月30日木曜日

希望は語り合うことから

 昨日書いた「戦争させない市民の風・北海道」のみなさんとの懇談。新自由主義を超えた新しい社会の旗印をつくろうと、有意義な意見交換になりました。紙智子参議院議員とともに、党道委員会からも青山慶二委員長などが参加しました。

 「市民の風」のみなさんとは、昨年の参院選後以来の意見交換。共同代表の川原茂雄さんから「コロナ社会を、どうとらえたらいいかを考えあいたい。新たな政権構想づくりも必要だと思うが、市民と野党で考え方を突き合わせてもいきたい」と問題提起を兼ねたあいさつをいただき、紙議員・青山委員長、そして私から党の活動や政策、考え方などを述べる形でスタートしました。

 紙議員からは臨時国会を開こうともしない政府・与党への批判とともに、先日の党創立記念講演で志位委員長がコロナ後の日本をつくるうえでの「7つの提案」(①ケアに手厚い社会、②人間らしく働けるルールをつくる、③一人ひとりの学びを保障する、④危機にゆとりをもって対応できる強い経済、⑤科学を尊重し、国民に信頼される政治、⑥文化・芸術を大切にする、⑦ジェンダー平等社会をつくる)を紹介しました。

 青山委員長は、コロナ禍で野党の協議は進められていないが、北海道から政策などでの話し合いを進めたいと表明。私からは北海道での新型コロナウイルスの影響に触れて、孤立のない社会づくりで共鳴しあった経験を紹介しました。

 「市民の風」のみなさんからは、PCR検査をもっと広げてほしいと、まず述べられました。一昨日の志位委員長が西村経済再生担当相へ要請した中身も資料で出していたので、「ちょうどいい時期に出してくれた」など、感想も寄せてくださいました。

 ほかにも「まだ野党共闘が市民に見えていない。新しい政治への可視化、戦略・戦術をともに考えあいたい」「コロナ感染の広がりを見たら、野党がまとまってPCR検査について緊急要求を」「社会福祉型か、支え合い型か、政権構想の理念の柱がまとまれるように」など、積極的な意見が出されました。話されていることのほとんどは納得できますし、これまでの信頼関係の積み重ねがあるから何でも話し合えるのだと実感もしました。

 こうやって新しい社会像を話し合うことは、わくわくすることだとも再認識しました。川原さんは「これから各党との話し合いをするなかで、今日はずいぶんと整理できました」と述べられ、各党の議員がZOOMを使った意見交換会もひらめいたなど、今後の運動についてのアイディアも。今の危機的な社会と安倍政治を突破する力は、こういう話し合いにあると確信しました。

 まずはコロナ対策を拡充するために、国会を開かせなければなりません。まったく議論なく、しかも対策の方向が違っていれば、害を被るのは国民です。国民の声や議論に背を向ける総理なら、お引き取り願うしかない。今日は札幌東区をまわっていましたが、「安倍首相は結局、何もやっていないじゃないか」など、どこでも同じような思いが語られました。政治を変える希望を語って、明日もまわりたい。

 【今日の句】逃げているとしか 見えない総理かな

2020年7月29日水曜日

札幌市も機構も住民に向き合っているか

 新幹線札幌延伸にともなうトンネル残土について、鉄道・運輸機構からヒアリング。受け入れ基準や説明会など「市と相談・調整のうえ進めてきた」と、札幌市の責任と言わんばかりの説明が目立ちました。公共事業とはいえ、工事実施主体である機構の責任もまた問われているはずです。

 今日のヒアリングは紙智子参議院議員、菊地葉子道議、村上仁・佐々木明美の両札幌市議とでおこないました。ちょうど今日は、手稲区山口地域に隣接する星置地域の「住民の会」が立ち上がり、宣伝行動もおこなっています。事前調査も含めて、住民合意はなされていないのです。

 そもそも、どのような基準で残土置き場として選ぶのか。明文化された基準がないなかで、▶じゅうぶんな広さ、▶できるだけ近くへの運搬、▶周辺環境に影響を及ぼさない、などをもとに、各自治体と相談してきた結果といいます。別な言い方をすれば、「自治体がダメだとなれば無理には進められない」(機構)ということです。

 事前調査が始められた手稲区山口は、札幌市のごみ処理場を使うことから、住民説明会も基本的には札幌市がおこなっています。住民から反対や慎重意見もあるなかで、事前調査にふみきったのは「札幌市も了解」(機構)したからでした。一方で、事前調査後のスケジュールは明確になっていないともいいます。

 紙議員の質問に、赤羽国交相は「地元住民の理解が得られないなかでの事前調査実施は困難」と答弁していました。事を進める条件は、自治体の理解や了解ではありません。結局は「事前調査=受け入れ地決定」と既定路線にされるのではないかと、住民から不安や心配の声が出るのは根拠のあることなのです。

 機構からは「事前調査の後も、第三者・有識者の意見を受けながら進めるので、無理やり進めるようなことはしない」との回答もありましたが、それならば、まずは説明を求めている住民に対して札幌市とともに説明会を開くなどが必要です。紙議員から「市民からの署名も重く受け止めるべきだ」と指摘し、参加者でそろって要求もしました。

 紙議員とは、先だって道漁連にも足を運びました。飲食業・業務用の需要が減っているなかで、ホタテ・カニ・ナマコなど高級魚種の価格下落が深刻です。魚価対策にと出漁制限もしていますが、それでも価格は3割減ほどといいます。給付金の申請・支給が始まっていますが、今後は共済である「つみたてプラス」からの払い戻しも予想され、国からの積み増しがないと、基金が枯渇するのではと心配されています。

 他にも、流通は年度をまたいでおこなわれるのに補助事業は単年度で終了するため、年度を継続する工夫を凝らしてほしいことや、ネット環境のない漁民をサポートしてきた漁協への支援を強めてほしいことなども要望として出されました。売上げが減っていれば漁協への手数料も減るわけですから、他の協同組合なども同じ苦労を抱えるだけに、何らかの対策が必要です。紙議員も、聞いた中身を反映させていきたいと述べました。

 今日は「戦争させない市民の風・北海道」との懇談会もおこないましたが、ボリューム多き内容だったので明日にまわします。これからの社会・政治のあり方や、市民と各党が共同していくうえでの方向など、実り多い話し合いになりました。安倍首相が国会の質疑から逃げまわるなか、私たちは逃げずに新しい社会へと進みたい。

 【今日の句】国会を 避ける総理も どこを向く

2020年7月28日火曜日

政治的思惑や国威発揚でなく

 この間の「しんぶん赤旗」で私が注目しているスポーツ面の連載「東京五輪・パラリンピック 新たな道すじ」。今日の増田明美さんの話には、なるほどと思うことが多くありました。政治的思惑による開催論でなく、このような落ち着いた国民的議論が必要だと感じました。

 プロ野球など有観客の試合も始まっているなかで、増田さんが紹介していたのは、北海道で先日ひらかれた「ホクレン・ディスタンスチャレンジ」。陸上トラック中長距離の大会ですが、感染予防・感染対策の具体的な中身とともに、それまでの枯渇感を満たすように選手たちの記録が大きく伸びたことも紹介しています。

 同時に増田さんは、代表選考が進まない現実も理解し、来春までに各国で選考ができなければ開催自体が困難になると指摘。練習に身を入れる選手の立場からすれば、年内には決めてほしいとも述べています。大会の簡素化、観客数の制限など国際オリンピック委員会(IOC)の方針についても触れていて、このようなオープンな議論が必要だと実感します。

 収束が見通せないなかで、世界的な移動をともなって諸国民が集まる五輪の開催自体への疑問の声も、もちろんあります。その予算を、命を救うために優先すべきという議論もあります。五輪開催の是非を問う一方で、文化や芸能、スポーツなど人生を豊かにする分野についての支援も求められてきました。選手たちも苦しい思いをしているに違いありません。

 このような連載を「しんぶん赤旗」がおこなっているということも、この機会に多くの方に知ってほしい。スポーツは平和の象徴であり、戦争や軍事に連なる用語(野球の「主砲」など)は紙面で使っていません。暴力や差別をスポーツ界から一掃する点でも、紙面上で主張しています。「赤旗」日曜版では、元プロ野球選手・衣笠祥雄さんが約21年間にわたる野球コラムを寄せてくださり、選手に向けるあたたかな視線が好評でした。

 選手は使い捨ての存在でなく、みずからの能力やチームワークを純粋に競い合いたいのであって、政治的思惑や国威発揚のためにプレーするわけではないはずです。五輪・パラリンピックについても行き過ぎた商業主義を排しながら、原点に立ち返った議論こそ。開催の結果がどうなろうとも、しっかり今こそ国民的議論をと思います。

 【今日の句】総理への レガシーづくりは やめてくれ

2020年7月27日月曜日

原発ゼロへの選択を

 今月8日に原発問題全道連絡会が要請した回答を聞くために、北海道電力へ。今日も議論は平行線でしたが、このような積み重ねが大事です。同時に、3密を避けた会場を北電側で準備してくださったことは、しっかり記しておきます。

 規制委員会の審査が7年間も通らない泊原発。焦点の活断層評価だけでも何年かかっているでしょうか。もはや泊原発の再稼働は断念して廃炉を求めたことと、藤井社長が泊原発1号機・2号機の稼働年数を20年間延長するとの検討表明は撤回することを求めたのが8日の要請でした。

 これまでも「規制委員会での基準でも絶対安全ということはない」点は北電側も認めてきました。それでも原発を稼働する理由は、長期的な価格安定性やCo₂排出が少ないことなどをあげています。くりかえし北電側が主張しようとも、道民世論は再稼働反対が多数を占め続けてきました。先だっておこなった宣伝のシール投票でも、再稼働反対の欄に貼る方が多数でした。

 過酷事故が起きたら取り返しがつかない安全性のリスクとともに、私は電力会社の経営リスクという角度も強調しました。これから1号機・2号機が何年、実働できるのかを計算すれば、稼働年数を延長しなければ採算が合わないという結論になったのではないか。それが藤井社長の延長検討論に現れたと思っています。現状では泊原発は経営の重石なのです。

 さかのぼって調べてみましたが、この稼働年数の延長は「例外的」(細野担当相(当時))としていたもの。現状で審査さえ通っていない泊原発なのに、その稼働を延長するとは、どのような特別に特別なほどの事情があるというのでしょうか。原則をなし崩しにしたら、福島第一原発事故の教訓や国民世論をふみにじることになりはしないのでしょうか。

 何より問われるのは国の姿勢。野党が国会へ提出している「原発ゼロ基本法案」も議論が進まずじまいです。国策として進められてきた原発の未来を決めるのは、国民の意志と選択です。市民と野党の共闘で、原発ゼロに向かう政権をやっぱりめざしていきたい。

 【今日の句】故郷に 戻れぬ痛み 忘れない

2020年7月26日日曜日

命の選別を許さず

 4年前の「津久井やまゆり園」事件の衝撃を忘れられません。かたや先日は筋委縮性側索硬化症(ALS)患者の嘱託殺人が起き、また気持ちが重くもなります。障害や病気があることで「社会のお荷物」だと思うことがないような、あたたかな社会にしたいと思うのです。

 嘱託殺人で逮捕された大久保容疑者は、ネット上で優生思想的な主張を繰り返していたといいます。誰でも1人の人間として安心して生きられる社会とは、まったく反対の優生思想を持ちながら医療行為をしていたのかと思うとぞっとしますが、一個人の思想的問題にとどめてはなりません。

 「やまゆり園」事件にしても、障害者団体からは元職員が障害者を否定するようになった背景も突っ込んで解明するように求めています。経済的な「生産性」や「効率性」を求める価値観の広がりは、人権をも否定する風潮が広がる土台につながってこなかったか。政治の側の発信も問われています。

 いま新型コロナウイルスによる、医療機関のひっ迫が心配です。海外では「命の選別」という動きまであったことが報じられました。他人事でもなければ遠い世界の話でもなく、自分たちに引き寄せて考えあいたい。

 【今日の句】人間に 優劣つける 愚かさよ