2020年9月19日土曜日

歴史は積み上げつくるもの

 5年前の「9・19」を忘れない総がかり集会に、アイヌ民族の先住権を考える集いなど、政治的大テーマに頭がフル回転の1日。しかし、集まれば「何かができる」という思いになるもの。元気をもらった1日でもありました。

 総がかり集会はコロナ禍のもと休止が続き、半年以上ぶりの再開となりました。スピーチする前に「お久しぶりです」と必ず口に出るほど。半年のうちに情勢が大きく変わり、安保法制を強行した安倍首相は辞職したものの、その負の遺産は残されたままです。まして菅首相は安倍政権を継承するというのですから、辞任前に述べた敵基地攻撃能力の保有にも着手していく可能性があります。

 5年前は現職だった私。国会前で夜遅くまで響き渡った「野党は共闘」のコールが、今も耳に残っています。悔しさを味わった翌日に、緊急の党中央委員会で野党連合政府をめざすとの方針を決めたときは身震いする思いでした。その5年前から見れば、多くの一致点が野党間でできてきたし、選挙協力も依然と比較にならないぐらい前進してきています。今度の総選挙で決着だとの思いは、集会に参加した方みんなの共通の思いだったのではないでしょうか。

 そして、党道委員会と国会議員団道事務所の主催でひらいた「アイヌ民族の先住権を考える集い」。榎森進・東北学院大学名誉教授の講演、紙智子参議院議員の国会報告、3人のアイヌの方からの発言など盛りだくさんの内容で、マスコミ各社も取材に来るなど大きな関心が寄せられました。私が進行役を務めました。

 昨年のアイヌ施策振興法の成立、今年の民族共生象徴空間「ウポポイ」開業など、アイヌ民族をめぐる情勢が大きく変わっています。しかし、新法に先住民族と初めて明記されたにもかかわらず、中身である先住権の具体化は不十分なまま。遺骨返還やサケ採捕などでの運動が広がる一方で、社会的には心無いヘイトスピーチなどが出されている今、政治的にも社会的にも歴史を学び直し、課題を整理していく契機をつくっていこう--との主旨で開催したものです。

 集いは初めに平取アイヌ協会副会長の木村二三夫さん、ラポロアイヌネイション名誉会長の差間正樹さん、静内アイヌ協会会長の葛野次男さんからの話をうかがいました。「大人になっても出自を口にできなかった」(差間さん)など、アイヌとして受けた差別について3人とも共通して触れたのみならず、遺骨返還について木村さんが「遺骨は魂。その尊厳を認めないのですか」と訴えたことを重く受け止めました。葛野さんはユーモアを交えながらも、アイヌであることを理由に女性とのお付き合いができなかったとの話に、胸が痛みました。

 榎森先生は、江戸時代からアイヌは違う民族として認知されていたことを示す資料を紐解き、今後については先住権の内容を1つずつ実現していくことだと話されました。紙議員は昨年からの国会論戦も紹介し、先住民の権利保障を国際水準へ早く近づけたいと党としての決意も語りました。実は党道委員会としてアイヌ関連で集いを開くのは小笠原貞子議員が現職だった時代以来ではないかというほどで、あらためて集まって語り合うことの重要さをつくづく感じました。

 「よく『アイヌの魅力発信』などと言われるが、アイヌの地位向上に『魅力発信』ということがそもそもおかしい」「差別禁止を実効性あるものとするため、条例づくりに共産党も力を発揮してほしい」「自治体へ何度も要望するなかで、今年度から担当主幹が置かれるようになった。観光ばかりの施策から、サケ採捕や林野共有にまで具体化が進められてきている」など、参加者からの発言にも学びました。大元の国政の課題としつつ、地方自治体で実践的に進められることがあると実感しました。

 このような機会を単発で終わらせず、定期的に持っていきたい。議論を10年単位で積み上げることで合意ができてくる外国の例もありますし、日本では謝罪というスタートラインもできていません。日本共産党だからできる仕事があると自覚して、アイヌのみなさんとも力をあわせていきたいです。

 【今日の句】ぶれないで 取り組むことの 大事さよ

2020年9月18日金曜日

またも道防衛局へ

 またオスプレイが事前通告なく千歳基地に着陸したことで、橋本みか小選挙区5区予定候補と道防衛局へ。抗議と、事態の公表を求める要請をおこないました。千歳市からは前市議の佐藤仁さんが同席しました。

 先月も同じ要請をしたばかりだっただけに、あらためて浮き彫りになったのは日米地位協定の問題。米軍機が自由勝手に飛び回ることができるとし、その経路なども明らかにしないのですから、日本の主権よりも米軍の都合を優先した、まさに不公平な協定です。道防衛局には、3人で厳しく抗議しました。

 今日も道防衛局は「米軍の運用にかかわる」ことで、米側から情報が来ていないと説明。しかし、自由に日本の上空を飛び回るには「アルトラブ」という日米合同委員会の密約があります。民間機は、その存在すら知らされていないのですから、重大な運行の妨げにもなるものです。米側も新千歳空港の周辺は民間機が多く飛び交うことを知らないはずはなく、それでもお構いなしに着陸を強行しているのです。

 さすがに2回目ということもあり、道防衛局には鈴木知事名での要請も突きつけられました。内容は、関係自治体への事前の情報提供と安全管理の徹底という点で物足りないものの、文書要請という事実を道防衛局は重く受け止めるべき。何より国政の根本問題でもあるので、本省への抗議も強く申し入れました。

 今日で3日間の臨時国会も終わり、北海道へ戻ってきた紙智子参議院議員と街頭宣伝。紙議員は、菅新内閣は「自助」=自己責任を押しつけるものと厳しく批判し、早い時期の解散・総選挙となれば、日本共産党の躍進とともに、市民と野党の共闘で新しい政治を実現しようと呼びかけました。

 私も国政問題とともに、寿都町や神恵内村での「核のゴミ」最終処分場への調査受け入れについて、国が地方へ負担を押しつけるのでなく、安心してくらせるための税金の使い方に変えるべきことを訴えました。全国のなかでも極めて人口減少率が高い北海道で、このままでは地域社会が成り立たないという悲鳴を各地で聞いてきただけに、寿都町や神恵内村の動きには、いろんな意味で胸が痛みます。しっかり取り組んでいきたい。

 【今日の句】事故ならば 誰が責任 背負うのか

2020年9月17日木曜日

多様性を尊重する国に

 明後日19日の「アイヌ民族の先住権を考えるつどい」(※すでに参加は定員となりました)を前に、今日は北海道大学アイヌ・先住民研究センターの加藤博文センター長を訪ねました。この「つどい」は党道委員会・国会議員団道事務所の共催で、東北学院大学名誉教授の榎森進さん、紙智子参議院議員がメインスピーカーとなり、各地のアイヌの方からも発言をいただく予定です。

 「アイヌの声を吸い上げるシステムができているでしょうか」と、加藤さん。道アイヌ協会も会員数が激減し、地域ごとの協会も地方自治体との連携などは課題になっているもとで、この点は常に目を向けておくべき課題です。北大での調査も、アイヌと表明して応じてくれる方々が減っているといいます。加藤さんは、政策とアイヌ自身のニーズが一致していない可能性や、くり返されるヘイトスピーチなどの可能性をあげられました。私も同感です。

 どうやってアイヌの歴史を社会的認識にしていくかも、話題になりました。学校用の副読本はつくられていますが、先生たちの研鑽や力量に任されるため実際は活用されていない場合もあります。大学教育を通じておこなっても、大学外での認識づくりをどうするかも課題です。

 これからの日本の進む道を考えたら、多様性・多文化を尊重する国となっていくでしょうし、しなければなりません。課題は当然ありつつも北海道は、すでにアイヌ民族との共生をしています。多様性や多民族・多文化の尊重は、北海道から発信できるのではないかとの加藤先生の指摘に光を見た思いでした。

 他国と違い、日本政府としてアイヌ民族への謝罪はありません。共通の認識のもとでスタートラインに立っていないうえに、地域の議論の積み上げでなくトップダウン的に昨年の新法も決まっていった経過があります。ある外国の研究者いわく、「日本は30年かける議論を10年でおこなってきた」との指摘に合点がいきました。本当に共生国家をめざすなら、安心して語り合い学び合える環境こそ、日本政府はつくらなければいけないのです。

 私もまだまだ勉強中。あわせて北海道の政治に携わる者の1人として、しっかり発信しなければと今日も痛感した1日でした。

 【今日の句】ほらを吹く 大臣いたとは 驚いた

2020年9月16日水曜日

急ぐべきは「自助」じゃない

 菅内閣が発足するも、行き詰まった安倍政権を継承する以上、まったく新味なし。今日は室蘭市・登別市へ、松橋ちはる小選挙区9区予定候補と訴えにまわりました。

 報道各社や経済団体などうかがいましたが、どこも話題は新政権。「期待することはありますか」との質問もあり、私からは「何もありませんが、コロナ対策が急がれるなか、早く国会審議をやってほしい」と述べました。いま問われているのは菅首相が言う「自助」ではなく、政治の役割そのものです。

 室蘭市立病院にも感染症病床があり、地域医療としても大事な病院です。ところが他病院との再編が持ち上がり、市民の不安が広がるもとでコロナ禍に襲われました。市議会では日本共産党だけでなく、最大会派の議員からも再編見直しを質問するようになったといいます。

 一方で、室蘭市と医師会の協力でPCRセンターが昨日から立ち上がりました(週2日、最大10人/日)。このような努力を支え、病院の減収補てんを急ぐことこそ政治に求められているはずです。この点は揺らぐことなく訴えていきたい。

 街頭宣伝には、多くの方が足を運んでくださいました。そういえば室蘭や登別の党員のみなさんとも会うのは久しぶり。手には「決着は総選挙で」と書かれた紙をもち、「私たちもがんばるからね」との言葉も嬉しい。地区委員会事務所へ戻ると、「しんぶん赤旗」に折り込む「民主むろらん」で早くも記事に入れてくださっただけでなく、印刷まで終了していました。まさに縁の下の力持ちの党員のみなさんに支えられていると、あらためて実感しました。

 【今日の句】期待など できる中身は 見当たらず

2020年9月15日火曜日

社員は奴隷か

 今日の「しんぶん赤旗」は衝撃です。「巨大電通の漆黒」と題した連載で、電通の元社員の生々しい告発。パワハラどころか無法地帯化している実態に、驚くばかりでした。

 詳しくは、ぜひ新聞でお読みいただきたいです。いくつかだけ紹介すると--

 --先輩からの暴力は日常茶飯事。反抗的な態度に思いきり殴られて全治三週間、慰謝料などなし。

 --先輩へのお酌が数秒遅れだと、あばらに膝蹴りを受け、骨にヒビが入った同期も。

 --電通の社員が痴漢しても報道されないことに、「それが俺たちの特権なんだよ」。

 その元社員いわく「新入社員は奴隷」。こういう発信をしていれば、高橋まつりさんのような悲劇を生まなかったのではという、悔しい思いが胸に迫ってきます。苦しんでいる働く仲間が、電通以外にもまだまだいるのではと思うと、背筋が寒くなるのと腹立たしさとが湧きたってきます。

 企業が上に立ち、労働者は搾り取られ、使いつぶされて当たり前。そこで生き残った者だけが富を得ることができる。力がなければ「そこそこの仕事」をしていればいい--このような歪んだ考えは、企業風土という面もあるでしょうが、根本的には新自由主義の考え方が蔓延した結果です。政治がそれを正すべきなのに、菅・自民党総裁は「自助」を前面に打ち出す始末。誰の立場に立って政治をすすめるのか、ここが大きな分かれ道です。

 今日はデスクワークなどの1日。明日は室蘭市・登別市へ足を運びます。

 【今日の句】告発の 勇気に政治が こたえねば

2020年9月14日月曜日

線路も地方も放置させない

 今日は日高管内へ。昨日に続き、松橋ちはる小選挙区9区予定候補とマイクを握りました。草を食む馬の親子と、眼下に広がる太平洋を眺めながらの日高キャラバンは本当に気持ちいい。菊地日出夫・真壁悦夫の両町議が同行してくださいました。

 事前に連絡をしてくださったからか、ある町ではJA専務さんが外に出て話を聞いてくださいました。前回の総選挙でも9区候補として奮闘しただけに、松橋さんにも「よく立候補を決意してくれたね」と歓迎・激励の声も。移動中も2人で交代しながら、車から声を響かせました。

 ちょうど今日は自民党総裁選の投票日。菅官房長官が選出されましたが、これまでの安倍政治を継承するにとどめず、国民へ自己責任を強調し、今日は規制改革を推進することも表明するなど新自由主義路線をまっしぐら。このような政治に苦しめられてきた北海道から、転換の声を大きくしていかなければと決意を新たにしました。

 新自由主義の出発点といえるのが、国鉄の分割・民営化でした。広大で寒冷地を走らせるJR北海道は赤字になるのは明らかで、それで国が積んだ基金も、低金利路線のもとで運用益が大きく減ってしまいました。とはいえ安全軽視の経営になったJR北海道は免罪できないし、自然災害に遭った路線は鉄道会社として復旧すべきですが、おおもとにある国の問題も合わせて問わなければいけない。

 今日もJR日高本線が走るはずの踏切を渡りましたが、手入れがされずに雑草が生え放題になっている線路の姿が悲しい。鉄道復権と呼ばれる状況が広がる欧州の方が、このように放置されている線路をどのように見るのでしょう。安倍政権のもとでも地方は大事とか、東京一極集中を変えるなどと言われてきましたが、現実は違う。政治の転換をと強く思った1日でした。

 【今日の句】ゆっくりと 流れる時間を この国に

2020年9月13日日曜日

任せて大丈夫と思ってもらえるように

 雨が降ったり止んだりの苫小牧市で、松橋ちはる小選挙区9区予定候補と街頭8ヵ所で訴え。早期の解散・総選挙もありうる状況のもと、広い北海道で急いで声を上げていかなければ。

 苫小牧市は私が中学校教諭を務めていた町で、今日も「さっき娘が(いま住んでいる町へ)帰ったばかりだったよ」(残念!)と教え子のお母さんから声をかけていただきました。思わぬ出会いは松橋さんにもあって、「勇気を出して」宣伝カーへ駆け寄ってきたという女性は、松橋さんが幼稚園に通っていた時の先生とのこと。マスク越しに松橋さんの笑顔が見えました。

 SNS全盛の時代とはいえ、職場や学校、ご近所づきあい、古くからの友人、趣味やサークル仲間などなど、こういう結びつきの大切さを実感します。街頭宣伝の合間におこなった「つどい」でも、お知り合いの党員さんから勧められて「しんぶん赤旗」の読者になった方が、入党を決意してくださいました。

 「菅さんが総理になっても何も変わらないと、あきらめてる人も多いんじゃないか」と、「つどい」で出された声。安倍政治を継承するというのですから、確かに何も変わりません。そのうえ「自助」を強調するなど、国民に冷たい政治が加速するような政治姿勢も浮き彫りになってきました。厳密には国会で選出されるまで誰が総理になるかはわかりませんが、有力候補に事前から強い批判がある状況も珍しい。

 それだけ政治を変えたい思いが沈殿していることの裏返し。新しい政治・社会の姿や、どうつくるかを訴えていきたいし、それが日本共産党に任せて大丈夫と思ってもらえるには、先ほど書いた普段の結びつきが一番だと思うのです。口から口へと伝わっていくように、一期一会を大切にしながら、松橋さんと明日は日高管内をまわります。

 【今日の句】「地に足をつける」の 意味をかみしめる