2016年9月10日土曜日

台風による水産被害も甚大

 あまり報じられていませんが、日高昆布や噴火湾の養殖ホタテがピンチなのです。台風被害の現場に足を運び、つくづく感じたところです。

 昨日は新ひだか町の有勢内(うせない)・春立(はるたち)地区と、ひだか漁協へ。

 今日は洞爺湖町といぶり噴火湾漁協、森町では砂原漁協と森漁協にも足を運びました。

 まず昆布の台風被害なのですが、昆布そのものというより干場(かんば)の流失と、護岸提の破壊がすさまじいのです。

 昆布は乾燥施設による乾燥もありますが、天日で干すことで増す旨みを大事にするには干場が必要になります。

 見た目は砂利を引いているだけに見えますが、地域にとっては大事な大事な生産手段。

 高潮・高波により、まず護岸提が崩壊し、流木や海岸ゴミなどが干場を押し流し、場所によっては砂浜のようになっている干場までありました。

 写真でわかるでしょうか、有勢内地区で撮った写真ですが、もともとはテトラポットも見えないほど地盤が高く干場としていた場所なのに、テトラポットも崩れ地盤も壊れ、今や干場どころか手前の住宅にまで浸水しかねない状況なのです。

 「この地域では一番若いのさ」という70代の昆布漁師さんに聞くと、屋根だけ残って昆布小屋が流されたりもしたそうです。

 この地域で平均的な干場に入れる砂利の量は、トラック20台分。

 1台5万円ほどで、漁師にとっては100万円にもなる新たな投資が必要になります。

 さらに驚いたのは春立地区。

 行く途中で、土台から1m流された小屋もあり、一番ひどいと思われる場所は護岸提が引き波で海側に倒れて(!)、テトラポットまで河口付近にゴロゴロと流されています。

 「もう想定外などということは考えてはいけない」

 ひだか漁協の中村敬専務理事がくり返した言葉に、このような現場を私も思い起こしました。

 干場は個人資産とみなされれば国の支援は難しくなるのと、仮に現状復旧ができるとなれば「現状」とはどの程度かを示さなければいけないため(普通は整った干場の写真を撮っている人などいないわけです)、航空写真なども用いて準備をされていました。

 日高地域は、すでにJR日高線も被害を受けていましたが、台風10号で清畠地区や駒場地区で線路流失・破損などが起こり現場を見ても無残なものでした。

 つまり感じたことは、いち自治体やJR北海道だけでなく、国が責任を果たすことが重要だということ。

 左の写真は、流された昆布が砂浜で放置せざるを得ずに乾燥しつつあるものです。

 昆布漁師からすれば、これほど悲しいことはないと思います。

 何しろ、今シーズンは3~4日しか出られないまま今年の昆布漁を終えることになったのですから。

 護岸提崩壊は噴火湾でも同様で、テトラポットが崩れた洞爺湖町の前浜は、越波すれば洞爺湖駅前の方が土地が低いため国道までも冠水するため早期復旧が求められています。

 養殖ホタテは、噴火湾の周辺自治体一帯で被害が起きてますが、同時に重要な問題は昨年以上に斃死(へいし)が起きていることです。

 理由は水産試験場も調査中ですが、ただでさえ斃死が多い状況に台風被害で耳吊りホタテがからまったり団子状態になったりで、生産量の減少が見込まれています。

 しかも、その規模が5割~7割減かという試算も。

 中国などの需要が高く、昨年は単価も高かったため生産量が少なくとも「一服」できた漁師も、今年はどうなるかは検討がつきません。

 噴火湾の養殖ホタテは、多くは2年で出荷するのですが、いま稚貝(赤ちゃん貝ですね)が確保できなければ2年後はさらに大打撃になるということです。

 だから資材や資源を今のうちに買い揃える必要がありますが、その費用を出せるのかが重大問題。

 台風被害の復旧に加え、経営問題も重なるわけですから、複合的な支援が必要だと思いました。

 まだ道内を回りきれてはいませんが、くらし・農業・水産などの被害は自分の中に叩き込まれました。

 北朝鮮の核実験に対し抗議の意思を示す本会議や閉会中審査なども検討されていますが、災害対策でも政府へきっちりと反映させなければと痛感しています。

 私も週明けすぐに、今回の調査をふまえて政府の対策や現状を聞く機会をつくりたいと思います。

 【今日の句】 海からの 恵みで我ら 生きている

2016年9月8日木曜日

TPP批准のシナリオ?

 国会議員団研修会に、今日は来年度予算への概算要求(農水省)レクで缶詰めの日々。安倍政権はひどいなぁ、とつくづく思いました。

 研修会の様子は、今日の「しんぶん赤旗」に報道されてます(こちら)。

 私はTPPについて、190国会での論戦の到達点、あらためてTPPとは何たるか、そして秋の臨時国会にどう挑むか、について報告。

 米国の大統領選挙で、2候補とも反対を表明していることを楽観するわけにはいかない。

 問題は反対の中身であって、つまりは米国の利益になるのか否かですから、米国がどう日本に迫ってくるかを見る必要があります。

 考えられるに、①直接の再交渉要求、②サーティフィケーション(承認手続き)を用いた、日本への追加要求、③日米交換公文にもとづき、日本が米国の意を汲んだ主体的変更--などが、ありえるでしょう。

 ただ直接の再交渉は全体のパッケージに関わるので可能性は低いのですが、それでも日本政府は「米国から再交渉を求められないよう」日本は早く批准する必要があるかのごとく、批准を急いでいます。

 「毒を食らわば皿まで」ではなく、「毒を食うなら少ないうちに」というところでしょうか。

それでいて今日の農水省レクでは、TPP対応として「大規模化によるコスト削減と競争力強化」「海外への日本農産物輸出戦略」なる予算が組み込まれています。

 心ある農水省官僚は矛盾のさなかにいることでしょうが、こんな毒を飲み込むわけにはいかない。

 まわってくる毒の行き先は、農家であり、消費者である国民なのですから。

 研修会では、TPPは農業問題だけではなく「非関税障壁の撤廃=限りなき規制緩和」のもとで、くらしと地域社会、日本の経済主権も壊れていくことや、ISDSにより進出企業には損にならない仕組みなどを私から報告。

 通常国会は、審議の前半ということもあり農業・食料問題が多かったのですが、今度は「限りなき規制緩和」の害悪を問うていきたい。

 また雨が強まっていますが、明日は北海道・日高地方へ台風被害調査の予定です(行けるかな‥‥)。

 【今日の句】 悪政も ずーっと缶に 閉じ込めたい

2016年9月6日火曜日

台風被害対策で申し入れ

 松本純防災担当大臣へ、この間の台風被害対策に関する申し入れをおこないました。大臣も先日、北海道を視察されたばかりのところ--。

 申し入れは、高橋千鶴子衆議、紙智子・岩渕友の両参議、そして私の4人で。

 高橋議員からの連絡をさっそく受け入れて、松本大臣も閣議前の時間を調整していただきました。

 私たちからは、激甚災害(本激)の指定、寸断されている道路・鉄道網への機動的な支援、農地の速やかな復旧へ各省庁の協力、廃棄物処理についての支援など、まだまだありますが緊急的な事項を申し入れました。

 松本大臣からも「相次ぐ被害に心が痛みます。安心した生活を取り戻せるよう全力を尽くします」と話され、昨日の北海道視察でも激甚災害の指定について話があったことを紹介されました。

 各項目でも、自治体から被害報告や要請があれば関係省庁と対応・連携する旨が述べられました。

 私からは、紙議員と道内13自治体をまわるほどの被害規模の大きさ、くらし支援、幹線道路・幹線鉄道とも受けた被害、雪が降る前までが勝負の農地復旧などを要望しました。

 何しろ閣議前の短時間なので、要点をまとめて伝えることが大事です。

 昨日も、党災害対策本部で視察現場の実態を交流しましたが、まだ行方不明者の捜索なども進行中ですし、情報も動いているのが被災地の現状です(例えば北海道での集約でも、床上・床下浸水が戸数ではなく「多数」となっている町もあります)。

 時間の経過とともに要望が変わっていきますので、しっかり対応していきたい。

 【今日の句】 国からも 被災地支える 尽力を

2016年9月4日日曜日

緊急対策と中長期対策と

 この半月で10自治体をまわるほど、道内各地で被害を及ぼした連続台風。今後に向けて、急いで調査内容を整理しています。

 大きく分けると、「くらし」「農林漁業」「国土・交通」で、それぞれ緊急対策と中長期対策とがあると思います。

 ●くらし--緊急には、水と食の確保(災害救助法も適用されました)、公営住宅や雇用促進住宅など緊急入居、泥出し(南富良野町ではボランティアセンターも開設)、床下の消毒や災害ごみの廃棄(各自治体が無償でおこなうなど始めています)など。ライフライン復旧と医療・福祉対応のため、関係機関・職員や業者などを道内各地から来てもらう道のイニシアチブが急がれます。

 中長期には、被害認定→住宅の復旧・再建への相談体制→支援金制度の拡充、税や保険料の軽減など。とりわけ高齢者や障害者などへ、きめ細かい相談に乗れる体制確保。すでに足寄町のように、災害見舞金を大幅に引き上げる条例を臨時議会で可決している自治体もありますので、国は直接支援はもちろん自治体を通じた支援も拡充するべきです。

 ●農林漁業--緊急には、収穫可能な作物の選別と防除やシカ防護策の仮設置、水が引いた畑・果樹園で遅れていた作物の収穫、合わせて秋まき小麦の播種支援、酪農での水(タンクなど含む)と電源確保、乳房炎など起こさないよう技術面も含めて支援、と昆布や養殖ホタテなどの被害調査など。

 中長期には、来年の作付けに間に合うよう農地復旧や機械類購入・種苗確保と、そのために必要な資金の確保を国と関係機関が支援を尽くすこと、共済の早期認定と早期支払い、共済対象以外の作物をつくる農家への支援、漁業被害でも同様の共済適用など。

 ●国土・交通--緊急には、決壊河川・道路の仮復旧、代替路線の確保(道東道は一部区間で無料措置が取られました)、被害の全容さえも把握できていないJR北海道にも、国が体制を取って緊急策を講じるべきです。

 中長期には、検証をふまえて河川改修・堤防かさ上げ、幹線道路の復旧、老朽化している橋梁などの対策・改修。JR北海道の財政の現状を見れば、国の支援を強めなければ全面復旧を見込めないことは確実であり、延長線上の支援とせず抜本的に見直すこと。

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 まだまだあるでしょうし、これに岩手県での現状を含めて、政府へ支援を求めていくことになると思います。

 すでに国や道へ要望しているものもありますが、現状は動いていきますので、地元議員などとも連携して反映していきます。


 作業の合間に、札幌北区での党と後援会「秋まつり」にて講演し、台風被害について多くの時間を費やして私からも報告。

 後援会長さんからも義援金の呼びかけがあり、「私は帯広出身です」「あの川が氾濫するなんて」など、参加された方から私にも声がかかりました。

 ちょうど3日でもあったことから、澤地久恵さんらが呼びかけた「アベ政治を許さない」ポスターも掲げました--政府は、災害支援を急げとの思いを込めて。

 【今日の句】 大臣も 視察するなら しっかりと