2015年8月5日水曜日

なぜ日本政府はTPP合意を急ぐのか

 日本政府は今月中にTPP交渉の大筋合意まで持ち込みたいようですが、そううまくいくのか? 乳製品や医薬品データをめぐって、かなり距離があるかのように思います。

 閣僚会合後、いろいろと情報収集に励みました。

 合意できなかった状況を見るに、22日からのASEAN経済相会合に間に合わせるのは厳しいのではないか。

 とりわけ日本政府として「最後」として閣僚会合だったのに、ニュージーランドから土壇場で想定外とされる要求が出された意味は、事前に詰め切れなかった日米両政府の外交上の問題だったでしょう。

 こんな終わり方なので、必ず合意できる見通しまで事前に詰め切らないと、米国政府は次回交渉を簡単に了承できないのではないか。

 そのなかで日本政府のみが、官邸からの指示なのかわかりませんが、合意へ急ぎに急いでいるように見えます。

 農産物の譲歩も次々と示され、政府は「交渉中は何も答えられない」と繰り返しましたが、明らかに「前のめり」です。

 そんなに何を急ぐのか?

 来年の参議院選挙を前に、とりわけ農漁村が多い県での反発を和らげるには早く合意してしまったほうがいい、との報道もあります。

 ここまで農産物で具体的な数字が報道されている以上、合意が伸びれば国会での追及(もちろん私からも!)や世論の反発も強まっていくでしょう。

 先日の参議院農林水産委員会で、紙智子参議院議員は「TPP交渉の合意もされていないのに、国内対策を具体化するのはおかしいではないか」と追及しました。

 国内対策を固めるためには、TPPも早く合意をというのなら本末転倒です。

 しかし、いま立ち止まって考えるべきだと思います。

 TPPは、日本とアジアの経済や貿易にとって本当に有効なのか?

 資本主義のもとで、貿易・投資・市場が国境をこえて広がる国際化は避けられません。

 問題は、無制限の利益追求を最優先させるような経済秩序でいいのかということだと思います。

 世界では貧富の格差の拡大、国際的規模での独占化などの問題がある一方、WTOのドーハ開発アジェンダも見通しが立っていません。

 それをTPPのような形で突破するのか、平等・公平を原則とする新しい経済秩序をつくるのか。

 多国籍企業のために市場を開かせるWTOか、資本の暴走を規制するWTOへと民主的改革を進めるか。

 利益が最優先されることで、東芝のような不正会計が何度これまであったでしょう。

 利益最優先と制限なき「成長」論は、市場経済の混乱や地球環境を脅かす側面がある。

 何よりTPP交渉からの脱退を引き続き求めてはいきますが、骨太の論戦にも向かっていきたい。

 まずは日本の国の形を大きく変えてしまうTPPストップへ、力を尽くします!

 【今日の句】 だんだんと 残暑が遠く なりにけり

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