2018年7月14日土曜日

地域の底力で鉄路は再生できる

 JRと車を乗り継ぎ、釧路市から浦河町へ約6時間。「JR日高線の再生を!」フォーラムに参加してきました。

 高波による被災を復旧せず、JR北から放置され続けて3年半。JR北は廃線とバス転換を狙ってきても、住民や「JR日高線を守る会」のみなさん、首長さんなどの声が食い止めてきました。その「JR日高線を守る会」が主催してのフォーラムです。

 パネリストは3人で、池田拓・浦河町長、宮田和保・JR北海道研究会代表、地脇聖孝・安全問題研究会代表の各氏。経過も現状も知っているつもりの私でしたが、あらためて3人の話を聞くことで日高線を存続させる意義が明らかになったと思いました。

 池田町長は「私はJRの応援団」と切り出し、そもそもの誤りは国鉄の分割・民営化にあったことを指摘したうえで、道路・港湾・空港は国や自治体が責任を負うのに、なぜ鉄路だけはJRに任せるのかと強調。北海道の鉄路は食料供給や観光など日本を支えている大事な役割があることと、株主は国が100%であるのだから国が責任をもってほしいとまとめました。

 宮田代表は、ドイツの木材産業従事者が自動車や電機関連より多いことを紹介し、「地域を衰退させると格差が広がりファシズムが生まれる」という教訓から地域を維持することが政治の役割になっていることから話されました。これだけの鉄道格差や「赤字だからダメ」と言っているのは日本ぐらいで、鉄道の社会的性格を認めることをすべきと強調。支える財源も、本州のJR3社の法人税を特定財源化することや、JR各社で基金をつくるための拠出など、さまざまなことができると述べました。

 地脇代表は、「輸送密度が低いから維持できない」というのは本当かと、その計算方法に疑問を投げかけました。全国で、まちづくりの中に鉄道を位置づけている事例、あるいは鉄道を中心としたまちづくりの事例を紹介しながら、国の責任で維持することを求めるとともに、地域で知恵と力を出すことや観光地としての日高の価値にも触れて、再生に向けた方向性を示唆されました。

 参加者からの発言では「政府が2年間の支援を決めたというが、どう見たらいいのか」「存続をあきらめてる人もいるが、今日のような話し合いが大事と感じた」「地元道議がバス転換へと急いでいる動きが心配」「自然を生かした観光に力を」など次々と発言があり、パネリストからも応じた発言がありました。地元の人の発言の後に私も発言しようとしていたのですが、熱がこもって発言が長くなる方もいて時間切れとなってしまいました。それだけみなさん、鉄路の維持へ思いが込められているということなんですね。

 「JR日高線を守る会」代表の村井直美さんが最後に、「私たちはもっと怒ってもいい」と強調され、同時に「地域を底力を感じるような集会でした」とまとめました。私も同感です。今こそ「地域の底力」を発揮すれば、安倍政権の暴走を終らせる道は開けるし、鉄路の再生も展望が生まれることは欧州の「鉄道復権」が証明しています。傍観や評論ではなく、当事者として道民みんなが関われる状況や世論にしていきたいと私も思いました。

 【今日の句】鉄道は 人の出会いも 運んでる

0 件のコメント:

コメントを投稿