2013年11月4日月曜日

福島の現実を、わかったつもりにならないで

 今日は渡部寛一さん(党南相馬市議)に南相馬市・浪江町と案内していただきました。後の写真でもわかると思いますが、原発災害の爪あとの大きさを痛感しました。

 福島市を出発して通ったルートは伊達市→相馬市→南相馬市で、バスの車中から線量を測っていきましたが、後で地図を見ると福島原発から北西の方向を通っていた地点が最も高いことがわかりました。
 

 南相馬市は海に近い方を走りましたが、福島第一原発から約20kmの地点で0.2μSv/h。

 「方角と風向きで違うからね」とは渡部さん。

 その20km地点から人影は見えなくなっていき、セイタカアワダチソウで覆い尽くされた田が見えてきます。

 20km地点からは、環境省の直轄で津波によるガレキ処理や除染などがおこなわれてはいますが、まったく復興には程遠し。

 福島第一原発から約10km地点(約0.3μSv/h)にスクリーニング場・検問所があり、浪江町から許可が下りなければ先には進めません。

 南相馬市(小高区)もそうですが「避難指示解除準備区域」に指定されていて、つまり「立ち入りはいいけど生活はダメ」ということ。

 私たちは調査の名目で許可され、町はチラホラと地元の方が見える程度です。

 渡部さん曰く「日曜だけど少ないのは、生活できないから。来たって何もできないんだもの」との言葉が、とても重く響きます。

 請戸川にかかる請戸橋で、いったん下車して周囲を見渡しました。

 ここで福島第一原発から約6km(0.3μSv)。

 渡部さんの指差す方を見ると、福島第一原発がかすかに見えるではないですか!

 請戸地域を回ると、津波の傷跡がそのままです。

 渡部さんの話では、この場所の津波の高さは発表がなく、推定で15~16mではないかとのこと。
 小学校もあるのですが、1・2年生は下校し、それ以外の生徒は先生の車や徒歩での避難で津波を免れ全員無事だったと言います。

 しかし原発事故のため、この地で何もできずに避難を強いられるはめに。

 請戸川の上流には農業用水用ダムがありますが、底には汚染された泥が沈殿しているため、使えるのには時間がかかるだろうとのこと。

 このような話を聞きながら、最も近づいた地点で福島第一原発まで4.5kmほどでしたが、ここでの線量は0.2~0.3μSv/h ほどでした。

 浪江町市街地を案内してもらいましたが、まだ信号機が点かない交差点、2011年3月12日の新聞が積んである新聞店‥‥震災も原発事故も終わっていないと、目の前に突きつけられた感じです。

 南相馬市に戻り、宮田川河口付近で渡部さんから「原発水害」なる言葉を聞きました。

 津波が来るということで2つの水門を閉めたまではいいのですが、津波が引いた後に開けようとしたら今度は原発事故。

 屋内待機や避難が命じられ、水門を開けられません。

 そうなると川から流れる水がせき止められ、周囲の田などへあふれるわけです。

 自衛隊への協力要請もおこない、地元では渡部さんも、じゅうぶんな線量計も持てずに手作業で開けにいっても、今度はガレキがはさまってるのか、水の圧力でなのか開かない。

 メーカーに特別ハンドルを持ってきてもらい、25日後に約20cm開けることができました。

 「でも20cmで良かった。行方不明者が海へ流されるかもしれなかったから」

 渡部さんの言葉は衝撃的で、さらに続けて「この作業の時に、生後10日の赤ちゃんの遺体を見つけたのさ」との話に、参加者みんなで息を飲みました。

 まだ地震と津波だけなら現場に行けたものを、原発事故によって被害が大きくなったのでは--これが「原発水害」と呼ぶ所以です。

 先が見えなくなる思いに駆られながら、最後に渡部さんはこう言いました。

 「福島の現状を、1人でも2人でもまわりに伝えてください」

 この現状は被災者だけの問題のものでなく、日本国民全体の問題なんだ、とあらためて気づかされました。

 安倍首相、海外で原発セールスなんて、してる場合じゃないでしょう!

 もちろん明日に全部が解決することはありませんが、まずは避難者が今住む地域で、安心して暮らせる環境を政府がつくらなければいけないと思います。

 賠償は、きちんと東電が第一義的に責任を負うべきだし、大株主・金融機関・電事連などの責任も明確にする必要があるでしょう。

 福島第一原発は、再稼動に駆り出されている専門家・技術者などの知恵を福島に結集して、全容解明と収束作業へ。

 まず大前提として、ていねいに避難者・被災者の声を政府が受け止めて。

 重い宿題を背負った気分で北海道に戻りましたが、私なんかより当事者の方々こそ気持ちは重い。

 残った方も避難(強制も自主的も)した方も、心から笑えない・笑っていいのかと考える、と聞きます。

 直接に支えることはなかなかできていないけれど、こうやって私は私の立場で現状を訴え、行動をしていかないと。

 原発ゼロの決断は、政治の最低限の仕事だ!と心から思いながら、福島を離れました。

 【今日の句】 結論は くらしを守れ 原発なくせ

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