ロシアとの領土問題、基幹産業である漁業の不振、そして新型コロナウイルスと、重なるように問題が襲いかかる根室市。今日は紙智子参議院議員の調査に同行しました。地元の橋本竜一・鈴木一彦両市議もいっしょです。
まず訪れたのは千島歯舞諸島居住者連盟。コロナ禍で今年の墓参やビザなし渡航もできなくなり、副理事長の河田弘登志さんも「6月に予定していた自由訪問は行けませんでした」。島の太平洋側の浸食も進み、船での上陸も難しくなってきています。元島民の平均年齢が85歳を超えるなか、あらゆる対策を急ぐ必要があります。
語り部などの後継者対策も話題に上りました。元島民の話から想像力を働かせるだけでなく、島の土を踏むことが「百聞は一見にしかず」(河田さん)で、受け止めも話の説得力も違うといいます。墓参は親戚などなら参加できますが、自由訪問は元島民の介助として島民2世までしか参加できないといいます。
「島に行った孫が、しっかりした作文を書いていた。国も後継者対策をというのなら、3世・4世の参加枠を増やしてほしい」と語った連盟根室支部長の宮谷内亮一さん。財産権の補償にも話が及び、外交交渉とともに、直面する課題を早く具体化してほしいとの話を重く受け止めました。
「祭りの囃子の練習もなくて、みな寂しい思いをしています」と石垣雅敏市長。カニやサンマを味わえる来月の祭りも、残念ながら今年は中止。コロナ感染の広がりが心配な一方で、感染症病床をもつ市立根室病院は「従事者がぎゅっと力を合わせてくれた」ほどのがんばりで、市民の命と健康を守ってきました。とはいえ全国の病院同様に減収も大きく、国の財政支援がどうしても必要です。
領土問題について、ロシア大使にも会ったという石垣市長は「だいぶ態度は固い」。領土割譲禁止を盛り込んだ憲法改定は、一方で「領土の確定作業は除く」との付帯条項もあり、日本政府の対応が迫られています。紙議員からも「戦後処理の不公正をたださなければなりません」と応じました。市役所では他に、領土対策室長や市立病院事務局長から現状を聞きました。
根室漁協では相川泰人専務から、ロシアによるサケ・マス流し網漁の禁止やタコ漁での拿捕、水産資源の管理と特にサンマ不漁、地域経済に与える影響などについてうかがいました。これらに海水温の上昇も加わって、「函館で獲れるようなイカも、根室で獲れることがあります」とのこと。とはいえ、根室の水産加工場は従来の魚にしか対応できませんし、再び獲れる魚種が入れ替わるようなことを考えると、新たな加工機械などを入れる決断もできません。
サケ・マスの流し網漁に代わる漁法も未確立で、まさに「サンマは最後の砦」(相川さん)。そのサンマが不漁で、遠く公海にまで行かなければいけないとなれば、地元の沿岸漁師にとっては対応できません。とはいえ違う魚種を獲っても、地元の加工場では処理できない。ぎりぎりの漁業経営のもと、持続化給付金の申請や、乗組員の雇用を守るための融資を漁協に求めているとの現実があることもうかがいました。国の新たな枠組みによる支援が必要だと痛感しました。
この後、午前零時に大型船によるサンマ漁が解禁となります。花咲港には全国からの大型船が集まり、その壮観さに紙議員と驚きました。すでに小型船・中型船のサンマ漁は解禁されていますが、小型船の分はほぼ水揚げもなく、中型船は15日の解禁日から、まだ戻ってきていないそうです。海の上で苦労しているのかと思うと、水産資源の研究や漁業交渉も含めて、さらに国が役割を果たしてほしいと痛切に感じました。
【今日の句】総理から しばらく領土 聞こえない
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