2020年8月21日金曜日

文献調査の応募は中止を

 片岡春雄・寿都町長へ「文献調査」応募の中止をと、幸坂順子町議と要請しました。結論は平行線でしたが、諦めるわけにはいきません。小樽地区漁協組合長会も抗議書を手渡すなど、反対の声も高まってきています。

 片岡町長は「将来の町財政のことを考えたうえで」表明してきたとの、これまで報じられた内容を繰り返されました。自治体の財政難は共通なのだから、他自治体と国へ交付税増など求める道もあることを私からは述べましたが、誰かが「核のゴミ」処分は考えなければいけないし「一石を投じた」役割があったと片岡町長は述べました。

 賛否で町を二分してしまうことにも「それは私も本意ではない」と、今後は「焦らずに、ていねいに、時間をかけるべきは時間をかける」話し合いをしていく考えを示しました。先立って開かれた町議会全員協議会の議論を経て、このような表明・表現に至ったようです。とはいえ、応募に向けた姿勢に変わりはありません。報道各社が相次ぐなかでも、時間をとって表明を繰り返す町長の姿勢からは、ご本人なりに進めたいとの決意が伝わります。

 別の場で片岡町長は、洋上風力発電の推進に向けて「国を揺さぶる」とも述べています。国から金を引き出すための取り引き的な言動というのなら、それは危ないことだと感じました。文献調査だけに終わらず最終処分場まで突き進めるために、国は様々な手段や理屈を講じるでしょう。原発政策は行き詰まり追い込まれているなかで、国としての突破口を探しているからです。

 「調査と誘致は別」だと、片岡町長から放射性廃棄物の危険性についての認識は聞けませんでした。しかし、その危険性があるからこそ風評も起きるのであって、心配の根底にはその危険性があります。黒松内低地断層帯の存在も、多くの方が理解されています。どの時点で町長が正式な決断をするかはわかりませんが、しっかり幸坂町議とも連携をはかりたい。

 その幸坂町議ですが、報道各社からの取材や全国からの激励・意見などが相次いでいて、肝心な町民との話し合いの時間がなかなか取れないという実態があります。ブログをお読みの方でも、ご配慮を私からお願いいたします。

 蘭越町・金秀行町長、黒松内町・鎌田満町長、島牧村・藤澤克村長さんとも懇談させていただきました(写真は蘭越町・金町長)。共通していたのは、報道で初めて知って驚いたということ。応募は1自治体が行う仕組みとはいえ「核のゴミ」なのですから、近隣自治体にとって「せめて情報を」と求めることは当然です。

 賛否は別に「こうした表明は自分にはできない」と、感服気味に話された方もいました。「核のゴミ」の危険性ゆえ表明しないのは当然と思いますが、一方で、どの町も地方財政が今も苦しく、これからも苦しくなるだろう実態を抱えている悩みも3首長さんからうかがいました。私の今週17日のブログにも書いたように、国は財政難や人口減少を盾にして、自治体間競争を促してもいるのですから、その矛盾に置かれている首長さんの悩みは、しっかり受け止めて国へも反映しなければと痛感です。

 小樽地区漁協組合長会の会長でもある、島牧漁協組合長の濱野勝男さんともお会いできました。「漁業を基幹産業としているところで、そのような金を持ってきてどうなるのか」と、きっぱり反対の態度を口にされました。実は島牧村では、2011年の村議会で文献調査の受け入れを質問した議員がいたのです。村長はそれを拒み、議会全体としても同意する雰囲気はなかったとのことですが、突破口をはかる勢力が以前も今もいるのではないかと推測される出来事です。

 事は1自治体のみならず、全道・全国の動向にもかかわること。梶山経産相は「応じる意向がある複数の自治体」の存在も述べており、競わせるための動機付けを示しているかもしれません。国策で進めた原発政策の後始末を、地方に負わせるというのであれば許されない。寿都町民も、心の中で悶々としているはずです。誰だって未来を汚したくないし、故郷を愛する気持ちは同じ。地に足をつけながら、しっかり構えて臨んでいきたい。

 【今日の句】国策の矛盾 地方へ押し込むな

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