2020年9月11日金曜日

育種の努力に学んで

 昨日に続く調査で、紙智子参議院議員と農業生産法人「当麻グリーンライフ」へ。有機農産物の生産から加工、販売まで手がけている現状をうかがいました。

 瀬川守代表ほか十勝管内からの生産者も駆けつけてくださり、まずは昨日からのテーマである「種」について。作付けする種の全量分を買うのはお金がかかるので、自家採種している農家もあるといい、そこで心配されるのは「多国籍企業が種を握ったときの価格高騰」と瀬川さん。種苗法改定も含めて競争力重視の農政についても、「農業を根幹にした国づくりを」と大元からの転換を求めました。

 そもそも有機農業に取り組む農家には、自家採種をおこない、地域ごとに品種改良を重ねて「自家増殖」も自然におこなわれてきました。農水省も、そのような現実を前に自家増殖は禁止してきませんでした。現行法でも規制の対象になっているのは、種苗としての販売や海外への輸出入です。農水省は、法改定は「海外流出を止めるため」としていますが、現行法の強化で済むことではないのか。

 実際に自家採種をおこなっている農家からも、話をうかがいました。自家採種と一口にいっても、きちんと引き継がれる種を選別するのですから簡単ではありません。収量が上がらなかった年もあったといいます。一方で、栽培技術を高めていくことと合わせて、その地に適応したかのような作物にもなったといいます。研究機関や農業関係者が、このように進めてきた育種の努力はすごいと感じました。

 あわせて、化学肥料・農薬や遺伝子組み換え技術を使わず、有機質肥料で地力を高め、病虫害にも強い作物を育てる有機農業の底力を学びました。専門的意見は分かれるのでしょうが、残渣のすきこみもおこなうなどしてトマトの無肥料栽培も数年間、続けているといいます。病虫害もないとの話でした。周辺には昆虫なども多く生息し、「まさに生き物天国です」との笑顔に、私たちも嬉しくなりました。

 道立総合研究機構・上川農業試験場では、研究の実際についてうかがいました。ほ場では道内で栽培・開発してきた稲がズラリ。「やっかいどう米」などとも言われてきた北海道のコメが、長い歴史をかけて美味しくなった努力の一端を学びました。そのような育種も、新品種が世に出るまで9~11年かかり、その割合は「札幌市民190万人から1人を選ぶ」ほどだといいます。

 私が現職だったときに、主要農作物種子法が廃止されました。戦後すぐに主要農作物(稲・麦・大豆)を増産するうえで、日本各地の気候や風土にあった作物ができるよう国が研究費用などを支援する、という法律でした。公的機関がもつ知見を民間に広げて、開発を促すということが廃止理由とされましたが、種への責任を公的に守るべきとの世論と運動が広がり、北海道はじめ15道県が条例を制定しています(今年2月現在)。命や食にかかわる分野は、市場任せにしてはならないのです。

 あらためて、農業の基本を学んだように思います。しっかり国会とも連携して、第一次産業こそ国の土台となるように力を尽くしたい。

 【今日の句】足早に 秋が来そうな 空気かな

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