2016年3月1日火曜日

この予算は誰がため

 北海道は今日も荒天。被害が心配です。国会では来年度予算案が衆院通過。日本共産党は本会議で私が反対討論に立ちました。

 その全文は以下のとおりです。

 私は日本共産党を代表して、2016年度一般会計予算ほか2案に反対する討論をおこないます。

 予算案の審議を前に、内閣を代表して経済演説を行った閣僚が口利き疑惑で辞任したことは極めて重大でした。いまだ疑惑は解明されていません。問題の根本にある、パーティー券を含む企業・団体からの献金を全面禁止することを求めます。

 以下、予算案に反対する理由を述べます。

 第1に、本予算案は、国民のなかに広がる貧困と格差の是正どころか大増税を押し付け、財界・大企業の利益優先へ大盤振る舞いとなっている点です。

 総務省の家計調査で、2人以上世帯のうち勤労者世帯の実質可処分所得が、30年前以下の水準に落ち込んでいることが明らかになりました。消費税率8%への引き上げで消費者物価指数が2015年に104.6まで跳ね上がり、物価上昇は過去最高の水準となりました。

 同じく総務省の労働力調査(詳細集計)では、安倍政権の3年間で正社員が23万人減った一方、非正規雇用の労働者は172万人増えています。ミニ経済白書では、パート労働者だけでなく一般労働者も実質賃金が低下していることを認めています。安倍首相が言う経済の好循環どころか、国民にとっては悪循環が続いているのではありませんか。

 消費税10%となれば、政府試算でさえ国民1人あたり年間2.7万円、1世帯あたり6.2万円もの大増税が押し付けられます。将来の引き上げも政府は否定せず、与党幹部からも「インフラ整備ができた」などの発言があり、軽減税率はさらなる増税の布石となっています。くらしと経済に、取り返しのつかない打撃を与える消費税10%はきっぱり中止するべきです。

政府はきまって「消費税増税分は社会保障の充実へまわす」と述べますが、予算案に盛り込まれているのは診療報酬の実質減、高齢者医療の窓口負担増、介護保険利用料の倍化、生活保護の加算・扶助減額見直しなど、負担増と給付減の徹底というべく全面改悪です。政府が昨年出した「改革工程表」にもとづき、社会保障自然増を半減以下にバッサリ削減したためです。どこに社会保障の充実があるのですか。

国民には負担増を求めながら、法人実効税率を2018年度まで2.37%引き下げるなど、史上最高の利益を上げている黒字大企業へ1.6兆円もの大減税をおこない、その穴埋めとして、外形標準課税の拡大で中堅企業への増税をおこなうなど言語道断です。この間の優遇税制によって、結局は、大企業の内部留保が大膨張しただけではありませんか。

いま政府が成すべきは、長時間・低賃金労働の是正など安心して働ける環境をつくることです。元請大企業と下請け企業の公正取引へ、国が監視と指導を強めることが必要です。社会保障充実の財源は消費税増税に頼らず、応能負担の原則にもとづく税制改正によってつくり出すべきです。家計に重い負担となっている教育費の軽減へ踏み出すときです。

この際、民主・維新・無所属クラブによる編成替え動議について触れておきます。貧困と格差を是正する点で部分的ではありますが、「返済不要の給付型奨学金の創設」「介護・障害福祉従事者、保育士等の給与の引き上げ」などは必要なことであり、賛成を表明するものです。

 反対理由の第2は、地方創生と口にしながら、いっそう地方の疲弊を加速させる点です。

 予算委員会の地方公聴会では、その懸念の声が相次ぎました。香川県高松会場では、地域経済の落ち込みや、TPPへの痛烈な批判が出されました。福島県郡山会場では「今の内閣は被災地に寄り添っていない」との表明もありました。

 そもそも地方創生を言うのなら、農林漁業に大打撃を与えるTPP批准などやめるべきです。各県やJAの試算では、政府試算を超える農業被害が示され、不満と不安が広がっています。予算案には、TPPへの対応として規模拡大や輸出促進に重きが置かれていますが、農家が切実に求める価格安定対策や、39%まで下がった食料自給率の向上こそ急がれるものではありませんか。

 安倍首相は有効求人倍率が増えたと盛んに言いましたが、では、なぜ若者が都市圏へ仕事を求めてくるのでしょう。最低賃金に大きな格差があるからです。中小企業への支援強化と合わせ、全国一律時給1000円以上の最低賃金制度の確立に今こそ足を踏み出すときです。

 5年目を迎える東日本大震災の被災者が、なお17万人も避難生活を強いられているなか、くらしと生業の再建は急務です。住宅再建へ被災者生活再建支援金を500万円まで引き上げることや、被災自治体の独自支援策を応援する立場こそ求められます。福島第一原発事故の被害の実態に応じた、支援と賠償へ国が責任を果たすときにもかかわらず、福島の願いに背を向けて全国で次々と原発を再稼働するなど到底許すことはできません。

 反対理由の第3は、安保法制=戦争法を強行成立させたもとで、5兆円を超える軍事費を盛り込み、アメリカの戦争支援体制を強化している点です。

新型ステルス戦闘機F35や、新型空中給油機、イージス艦、オスプレイ等の軍備拡大は、周辺諸国との緊張関係を高め、東アジアの平和環境づくりに逆行するものです。後年度負担が膨れ上がり、中期防衛力整備計画をも大きく上回るペースです。

新たな日米合意に基づき思いやり予算を133億円も増額し、米軍への施設提供整備に、最低でも毎年206億円を積算根拠も示さないまま支出するとしています。米軍が配備をすすめるF35戦闘機についても、日本政府による財政負担で新たな重整備拠点を置くとしています。対米従属も極まれりではありませんか。

 沖縄の民意を無視して、代執行訴訟にまで踏み切り、辺野古への新基地建設を強行するなどとんでもありません。普天間基地は、移設条件なしの閉鎖・撤去こそ要求するべきです。

民意を無視した安保法制=戦争法の強行採決から間もなく半年が経つなか、国民の怒りは収まるどころか拡大し、安倍政権を変えようとのうねりが全国に広がっています。この3月に戦争法は施行されようとしていますが、日本の自衛隊が、戦後初めて外国人を殺し、戦死者を出すという現実的な危険が生まれています。

改定PKO法において、自衛隊は新たに任務が拡大し、任務遂行のための武器使用も認められました。国連PKO自身が「交戦主体」となっている現実のもと、内戦状態に陥っている南スーダンで、自衛隊が武力行使する可能性について政府は明確に否定しませんでした。また、「駆け付け警護」の一部として「狙撃・射殺」前提の作戦があることについても、政府は検討していることを認めました。重大です。戦闘の当事者になるのは避けられないではありませんか。

わが党は先月19日、他の4野党とともに安保法制を廃止する法案を提出しました。日本共産党は、国民との共同をさらに強め、憲法違反の安保法制=戦争法を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回し、安倍政権打倒と、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻すため全力をあげる決意を表明して、私の反対討論を終わります。

 いったい誰のための予算なのか、問われているのではないでしょうか。

 予算審議は明日から参議院に移りますが、引き続き国会審議を注視してほしい。

 日本共産党は、本気で安倍政権に代わる政治をつくります!

 【今日の句】 見えてるか 暮らしの現実 平和の思い

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