2019年8月23日金曜日

突きつけられたコールの重み

 「2島で終わりなんて許しません」。歯舞群島の勇留島(ゆりとう)に住んでいた坂本セツ子さんの凛とした声が会場に響きました。そして「コールしたいのですが」!

 これは今日おこなわれた「北方領土返還要求北海道・東北国民大会」での一場面。私は党道委員会を代表して参加していました。毎年おこなわれる大会で、東北からも駆けつけて「北方領土」一括返還への決意を固め合う場です。安倍首相がどうあろうとも、今日の大会宣言でも「北方四島は‥‥我が国固有の領土である」「今後とも北方四島の一括返還の実現を目指し」ていくことなどが確認されました。

 来賓あいさつや高校生による返還アピールの後、元島民を代表してのスピーチがあります。ここでマイクを握ったのが坂本セツ子さん。このような集会でスピーチするのは初めてのことで「今日は命がけです」と切り出しました。緊張気味のスピーチが、力強い口調になったのが「2島で終わりなんて許しません」でした。

 そもそも択捉島・国後島・色丹島・歯舞群島とも日本の領土です(日本共産党は、占守島までの千島諸島全体が日本の歴史的領土であると主張しています)。元島民は結束して声をあげ、どの島が返ってくる・返ってこないという問題でなく、どの島も元島民の故郷なのです。セツ子さんの言葉を、大臣代理で来ていた職員は、どう受け止めたでしょうか。もちろん私たち、政治にかかわる者に対しても突きつけられたメッセージと受け止めなければ。

 しかもセツ子さんが「コールしたいのですが」と語り、「領土は返れ」とくりかえし声をあげたのです。会場からも、そして来賓席にいた私たちも「領土は返れ」とコールしました。言葉の正確さより、その決意を共有しようとの思いが広がりました。こうやって壇上からコールを呼びかけるなんて、この大会では初めてのことではないでしょうか。

 それほど故郷を奪われている長年の悔しさがあるし、安倍政権に対してもモノ言わなければとの思いがある。安倍首相にも聞かせたかった。私も力にならねばと、決意を新たにしました。

 決意を新たにしたのは、夜の反原発抗議行動でも。今日は区切りの350回目。ここまでスタッフが続けてくるにも、多くの苦労や困難がありました。それでも「誰でも意思を表明できる場」を準備することの大切さを確認しあい、350回も続けてきたことには本当に頭が下がります。

 私からは昨日の苫東厚真発電所のことにも触れてスピーチ。昨日も書いたように、厚真発電所は「津波が来たら職員も避難」となりますが、原発は福島第一が示すように「津波が来ても職員は現場」となります。よくよく考えれば、大規模な自然災害であれば発電所の1つや2つがダメになってしまう場合もあります。しかし原発は、それが許されないのです。

 ダメにできないからこそ防潮堤をつくったり、地盤を強化したり、頑丈な水密扉を準備したり、今はテロ対策に必要な準備もしたりと、とにかく多額のお金がかかります。それでも過酷事故となれば、場合によっては自分の命をかけてまで職員は現場に残らなければなりません。原発ほど理不尽な発電所はないのでは、と昨日ふと思ったのです。

 「領土は返れ」「再稼働反対」--さまざまな思いが込められたコールの重みを、今日はつくづく感じました。

 【今日の句】あらためて あきらめないと 身に染みて

0 件のコメント:

コメントを投稿