2023年9月14日木曜日

スピード感ある水産対策と外交を

 今日は紙智子参議院議員と、札幌市中央卸売市場や道水産物加工協同組合連合会などへ。中国の水産物禁輸でホタテを中心に広がる影響や不安について、実態をと聞いてまわりました。緊急の課題と、構造的な問題とが浮き彫りになりました。

 禁輸より前の7月から影響は出始めていて、道内からの中国向け水産物輸出は前年から3割も減少しています。主力のホタテは35%ほど落ち込みました。他にもナマコや、これからは秋サケへの影響も心配されます。

 政府は水産対策として1000億円超を準備し、ホタテは一時買取りをするとの報道があります。しかし、補償などの具体的な対策ははっきりしていません。今日も「スピード感を持って進めてほしい」との声がありました。

 買取りや冷凍保管をするにしても、そもそも全国的に冷凍倉庫の空きがあるのか。加工業者の間でも、よくわからないのです。これからの出荷分だけでなく、輸出したものが戻ってくる分もあるのです。

 新たな冷凍施設と言っても、すぐにはつくれません。冷やすための電気も料金高騰で、今でさえ業者に余裕はありません。既存倉庫で可能な分の見通しが、まず必要です。

 水揚げを止めてしまうとホタテが残り、次の稚貝を育てる場所がなくなってしまいます。稚貝を育てて出荷している漁業者や地域にとっても、大きな打撃になります。養殖サイクルは地域経済サイクルなのです。

 国内消費を増やそうにも、殻から捌く人手は今でも不足。大量の殻や「うろ」も処分しなければなりません。殻付きで輸出して、その加工と廃棄物処理を中国が担っていたのが現実でした。

 だから道内加工といっても、簡単ではないのです。大量に捌く機械も億単位の投資になるし、メーカーもすぐには何台もつくれません。その間に情勢が変わり、ムダな投資になることへの恐れもあります。

 そもそも物価高で苦しい家計に、ホタテを買えるだけの余裕がどこまであるか。価格が下がった時の補償を見越して、買い叩かれる心配なども尽きません。これだけの構造的な課題にも直面しているのです。

 まずは緊急に、国が買取りなどでも請け負うこと。価格が下がった場合の補償の仕組みづくりを急ぐこと。不当な買い叩きがないよう監視体制の強化を。東電への賠償では、道が振興局単位でアドバイザーを設置するので、その連携・支援を。

 緊急対策あってこそ、新たな販路開拓など中長期的対策にも力を注げます。根本的には汚染水の海洋放出方針をやめて、中国との外交的解決をはかるべきです。ホタテ以外への波及を考えても、とにかく急いでほしい。

 紙議員が上京する前に、江別市の米村牧場・チーズ工房プラッツを訪れました。酪農の実態を聞くためでしたが、米村さんの激動の人生や堆肥づくりの情熱と豊富な知識、チーズに込められたエピソードなどに圧倒されました。

 一方で、いま米村さんの地域で続けている酪農家は2軒(他に大規模経営が1軒)。こつこつとした努力が報われる農政をとの思いを強くします。

 試食でいただいたチーズの美味しさに、紙さんと、1つ2つと買い求めてしまいました。厳しい課題が多かった2日間のなかで、最後はホッとした調査となりました。

 【今日の句】のしかかる 原発事故の 重たさよ

0 件のコメント:

コメントを投稿