2024年3月27日水曜日

本当に原発しか選択肢はないのか

 原発問題全道連絡会による、北海道電力と道への申し入れに同席しました。能登と同じ日本海側に存在する泊原発は大丈夫なのかと、心配の声があがるのも当然です。再稼働せず廃炉へ、原発に頼らない北海道への転換をと求めました。

 申し入れの主旨は、北電に対して①新防潮堤の建設着工のとりやめと泊原発廃炉の決断を、②省エネと再エネを軸に据える経営への根本的転換を、の2点。北電側からは、能登地震の新たな知見が規制委員会に反映され、新たな規制が具体的になれば対応するとの回答でした。泊原発の維持・活用方針に変わりはありません。

 道に対しては、①北電と国に対して泊原発の再稼働を認めず廃炉を求めること、②「核のゴミ」概要調査に反対すること、の2点。避難計画・防災計画は規制委員会の動向を注視しながら対応するとし、「核のゴミ」は道条例を遵守するとしつつ、文献調査における報告書の審議状況を注視するとの回答でした。

 能登地震は、地震そのものが与えた被害の大きさとともに、「志賀原発が稼働していたら」「珠洲市に原発が建設されていたら」過酷事故が起きたかもしれないとの衝撃が広がりました。福島第一原発事故も収束していないし、決して他人事ではないのです。

 規制委員会は、過酷事故の際には屋内退避を含めて自治体へ計画づくりを丸投げしています。しかし、能登地震で直面した家の倒壊や道路の寸断を見れば、現実とかけ離れているとしか思えません。規制委員会は無責任に丸投げ、自治体は現実を前に四苦八苦--そこまでして原発を動かすことが、合理的なのでしょうか。

 北電が1800億円もかけて新たに建てるという防潮堤は、資材や人件費が高騰しているもとで、さらに工事費が膨らむことはないのでしょうか。北電の経営を圧迫することは間違いありません。

 全国一高い電気料金なのに、工事費分を三度目の料金改定で上乗せとすることは、道民からの批判も避けられないでしょう。私からも、安全性・経営上の問題・道民合意から見て、申し入れ内容を真摯に受け止めてほしいと述べました。

 道に対しても、文献調査について内容の妥当性を検証するとともに、調査そのものが引き起こす社会的影響--寿都町では町民同士の分断が起きたことを強調しました。今度は概要調査、また次の段階へ‥‥と続けば、町民だけでなく自治体同士の分断、ひいては道民同士の分断が起きかねません。広域自治体である道として、それは本意ではないはずです。

 そもそも寿都町や神恵内村には、脆弱な地盤である水冷破砕岩が広がっていると研究者が指摘しています。経産省の「科学的特性マップ」でさえ、寿都町には「好ましくない特性があると推定される地域」があるとされてもいます。国として「地層処分ありき」の姿勢は見直すべきだし、道知事は国まかせでない主体性が必要ではないでしょうか。

 電力の確保へ、本当に原発の再稼働しか選択肢はないのでしょうか。泊原発は、規制委員会の審査が進まないほど多くの問題があり、北電も説得力ある安全性などの説明ができませんでした。今ある再エネ施設とともに省エネの努力を進めることで、原発なしでも北海道はできるのだと、新しい道があることを訴えていきたい。

 【今日の句】世界では 斜陽化なのに こだわるか

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