2020年9月4日金曜日

希望は現地にこそ

 今日は北海道電力へ。岩渕友参議院議員、真下紀子・菊地葉子の両道議とで、泊原発や「核のゴミ」などの現状と考え方についてのヒアリングです。

 北海道電力は今年4月に送配電部門の分社化もふまえ、「ほくでんグループ経営ビジョン2030」を発表しています。「新時代の電気事業」のもと中心となる電源構成は、泊原発再稼働前の第Ⅰフェーズと、全基再稼働後の第Ⅱフェーズに分けています。第Ⅰでは火力発電が主力、第Ⅱでは火力発電は調整力として位置づけ、原発が大きな役割を担う電源構成としています。再エネ発電は、第Ⅰ・第Ⅱを通じて拡大するとしています。

 では、泊原発の現状は。現在の一番の焦点は、敷地内を走るF-1断層です。規制委員会から昨年、活動性を否定できないと指摘された断層のことです。北電は否定する根拠を上げていますが、10日から規制委員会が現地調査に入ることが発表されて、その結果も待つことになっています。

 F-1断層については昨日、斎藤海三郎さん・小野有五さんからも詳細な説明を受けました。寒冷地の丘陵であることから周氷河作用(凍っていた表層の地層が解けて、攪拌されること)や、敷地から敷地外へと連なっている地層から推測されることなど、規制委員会で議論のテーマとして取り上げられているのは、このような地道な調査と分析が届けられてもいるからです。

 このF-1断層が活断層でないとされても、他の敷地内断層(F-4、F-11)についての評価や積丹半島沖の活断層、地震による防潮堤地盤の液状化、津波で防波堤が破損した場合の影響など、北電には越えなければならない課題が山積です。「安全対策に、どれだけの費用がかかるのか」との質問にも「今後の議論次第」ということで、費用がどこまで膨らむのかは見通せません。再稼働も見通せない原発の安全対策に、電気料金という形で負担を増やすことには、道民への理解も得られないでしょう。

 いわゆる「核のゴミ」問題については、「受け入れがたい」とする道条例の見解を聞いてもハッキリしない。「事業者として法律・条例は遵守します」と言えば済むだけなのに、一般論としてはそうだとしつつ、どこかで処分することについての「理解活動」は進めると繰り返します。寿都町での動きに重ねると、まるで北電が後押ししているかのようです。しっかり敷地内で(せめて「当面は」)保管に責任を持ちますとも、ハッキリしませんでした。

 他のテーマでは再エネへの考え方、高い電気料金などもありましたが、突き詰めると泊原発の再稼働を前提にするかどうか、に突き当たります。ここまで申請も認められず、さらに越えなければいけない課題が山積なのに、引きずりすぎれば費用も膨らみ、北電の経営問題になるかもしれません。そのような指摘もおこないました。

 橋本みか小選挙区5区予定候補と合流して、江別市の「えぞりす亭」さんへ。目的は美味しいランチとともに、原発事故により福島県から避難されてきた宍戸隆子さんとの懇談です。店を切り盛りしている忙しい間を縫って、時間を取ってくださいました。原発事故も勝手に起きたわけでなく、スタートは誘致などがあったから。そのような原点を聞きたく、宍戸さんを訪れたというわけです。

 「ここで決められたら、次の世代はそのもとで生きなければいけなくなってしまいます」と宍戸さん。ご自身も物心ついた時には原発が当たり前の存在だっただけに、「最初の決断」が後々まで拘束してしまうことへの発言は重みがあります。だからこそ若い方による署名活動が起きていることや、「しっかり学ぼう」と会が立ち上がっていることに、宍戸さんも希望を見出す話をされていました。同感です。

 避難されてきた方々の現状もうかがいました。コロナ禍も重なり、生活がさらに苦しくなっている方も散見されているといいます。賠償や裁判の状況もうかがいました。来年で震災・原発事故から10年となるだけに、しっかり国の責任の問題として世論を起こしていかなければと痛感しました。

 夜は376回目の道庁前・反原発抗議行動へ。コロナ感染防止にと半年ほど中断していたために、会う人会う人の間で「久しぶり」の声が沸き起こります。ところが、その間に起きた寿都町での問題。新しく「北海道に核のゴミ捨てるな」のプラカードも作られて、これまで心に溜まっていたものを吐き出すように「再稼働反対」のコールが響きました。手を挙げて応えていく自転車に乗っていた男性もいました。

 岩渕議員と私から、昨日からの行動を報告。岩渕議員は「原発政策の破たんを地方自治体へ押し付けるようなことは許されない」と強調し、私は「若い世代が声を上げていることに連帯していきたい」と述べました。「北海道の豊かな自然を子どもたちに残そう」(反原連・橘さん)、「金で受け入れさせる国のやり方が汚い」(同・ラトゥールさん)に、「寿都町に行ったが、とてもいい町。核のゴミは持ち込まないでほしい」「国は沖縄に米軍、北海道には核のゴミを押しつけようとしている」などのスピーチがありました。

 ラトゥールさんが「みんな北海道が大好きなはず」と述べた一言が、心に残りました。もちろん私は「原発ゼロ」へと進める立場ですが、とかく賛成・反対ばかりが浮き彫りになるテーマで、愛する北海道をどうしていくかの議論を深める必要はあります。だからこそ寿都町でも急いで結論を出してほしくないし、梶山経産相が今日の鈴木知事との会見で「条例があるからといって出来ないということにならない」と発言したことは、道民の議論や意志など無関係に国は進める用意があると示唆したものであって大問題です。

 濃密な2日間で記録が追いつきませんが、きちんと論点を整理して臨んでいきたい。北海道が大好きだから、こそです。

 【今日の句】次世代に 残したいのは 大自然

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