2020年10月15日木曜日

廃線ありきの「監督命令」は今こそ撤回を

 JR北海道の減収額が前年度比400億円に上るとされ、来春のダイヤ改正で減便・臨時列車化や駅の廃止を進めるとの方針です。地方路線は削減していく一方で、北海道新幹線の札幌延伸は予定通り進めることに釈然としないのは私だけでしょうか。

 コロナ禍で、交通関連各社も例外なく経営が厳しくなっています。ましてJR北海道は、広大で寒冷積雪という条件のもと、そもそも赤字が必至。それゆえに国鉄の分割・民営化時に基金を積んだことは、ご存知のとおりです。国の不作為で生じた問題は国が責任を果たしていくべきだし、国民の移動する権利を保障するため公共交通を維持・存続する責任もあります。

 写真はJR札幌駅西口に展示されている「北海道鉄道開業140年記念パネル展」の1枚。官営幌内鉄道が140年前の11月に開業され、その後に道内の鉄路は炭鉱や鉱山から、港から、農村から、鉄の町からも、大事な物資輸送と国民の移動を担うかけがえのない交通機関として発展してきたのです。厳しい開拓環境ゆえに「枕木一本人一人」とも呼ばれた、その歴史も忘れるわけにはいきません。

 国は一昨年、JR北海道へ経営自立を求める「監督命令」を発出して、廃線・バス転換を当然視しています。維持していく路線についても、国と同等の財政支出を地方自治体に求めています。コロナ禍で情勢は変わったのですから、廃線ありきの「監督命令」を撤回して、路線維持へ支援を抜本的に強めるべきではないでしょうか。今の苦境のもとで経営自立を求めていけば、廃線に拍車がかかるだけです。

 新幹線の札幌延伸も、中止を含めて見直し・再検討を。トンネル工事による「要対策土」処理場も決まらず、これまでと概念が違うような「条件不適土」なるものも北斗市では報告されていて、すでに仮置き場がいっぱいになっているといいます。コロナ以前の収支予測だって再計算すべきだし、次々と地方路線の減便・廃線が続けば波及効果だって望めないでしょう。

 走り出したら止まらない、日本の大型公共事業。このような前例踏襲こそ政府が見直すべきではないでしょうか。

 【今日の句】廃線を広げて なぜに新幹線

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