2日間にわたる国際シンポジウム「先住権としての川でサケを獲る権利」にて、各国の先住民・原住民の報告から多くのことを学びました。日本は国際水準から見て立ち遅れた地点にいることも、あらためて痛感しました。
主催はラポロアイヌネイション。道内各地で私も懇談してきたアイヌ民族の方々も集い、文字通り会場はびっしり。夜の懇親パーティーでは紙智子参議院議員も国会報告を兼ねてあいさつするなどして、交流を深めることもできました。
シンポの中心は5地域からの報告・講演。①台湾(アミ族・タオ族・セディック族)、②オーストラリア(カトゥンガル)、③アメリカ(チョクトー・ネイション)、④カナダ(ハイダ・ネーション)、⑤フィンランド(サーミ)ですが、サーミはサケ漁をおこなうデットヌ川(※サーミ名)が国境になっているので、フィンランドとともにノルウェーにかかわっても報告されました。マイノリティとされ、どの民族でも差別や同化政策などを強いられてきました。見破られないように、わざわざ顔にペイントして木々の間から監視されていたとの報告では、会場からどよめきも。そんな仕打ちにも負けず、裁判や運動で権利を勝ち取ってきたのです。
台湾では、憲法の原住民の権利を書き込み、「国と国の関係宣言」と位置づけた原住民族基本法も成立させました。原発の放射性廃棄物処理場が押しつけられようとしているタオ族の反対運動には、連帯の拍手が起きました。
カナダのハイダ・ネーションでも、島の皆伐に反対する対抗策として、その地域を「ハイダ遺産」に決定。カナダ政府をも動かして保護区へと指定し、管理委員会にも参加しています。時間はかかっても、そこから海域にも範囲を広げてきました。
どこでも自治権は当然のものとして、民族・ネーションとしての評議会があります。民族抑圧とは、①政治的支配(自治を奪うこと)、②領土の喪失、③文化的な押しつけ、との整理に納得。各民族のたたかいがあって、先住民族の権利に関する国連宣言に結実しているのです。
それでも課題は、なお多い。サケ漁がサーミ固有の河川文化ですが、この5年ほどでサケの遡上が非常に少なくなっているといいます。フィンランド・ノルウェーの政府ともに資源保護を理由に禁漁を命じ、漁法などの文化や知識が断絶する危機にあります。
生態系の変化は、気候変動によるものと推測されます。緯度が高い地域ほど、そのインパクトが現れると言われます。気候変動は、北極圏に近いサーミの未来をも脅かすものと再認識。課題は重なり、つながっています。
日本でもラポロアイヌネイションなどが、粘り強い主張と運動を通じて遺骨返還を進めるなどをしてきました。今回のような国際シンポを開くなど、国内外の世論喚起にも力を尽くしてきました。先住権保障への取り組みが鈍い日本政府を動かすために、私もいっしょに力を尽くしていきたい。
【今日の句】たたかいと アイデンティティが 誇らしく
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