2018年4月29日日曜日

歴史の真実を問い直して

 南北首脳会談が大々的に報じられた昨日は、日本の領土問題では節目となったサンフランシスコ平和条約の発効日でもありました。

 沖縄にとっての「屈辱の日」でもあり、「千島列島の放棄」の結果、元島民や根室市など隣接自治体に苦難を押しつけることとなった日です。こういう節目のときに、歴史に目を向けたいと思うのです。特に北海道いる者として千島問題での発信をしなければ、と。

 日本と旧ソ連が平和的に領土を確定したのは、1875年の樺太・千島交換条約でした。しかし、旧ソ連のスターリンは1945年の「ヤルタ会談」の際に、対日参戦の条件として米英側に千島列島の引き渡しを要求します。領土不拡大の原則に反するものでしたが米英側がこれを容認。その後、旧ソ連は千島列島のみならず、北海道の一部である歯舞群島・色丹島まで占領しました。

 1951年のサンフランシスコ会議の際や国会答弁で、日本は国後島・択捉島を含めて千島列島という見解を表明し、平和条約には千島列島の放棄が盛り込まれました。しかし、その後に「国後、択捉は千島にあらず」と述べ、四島の返還を主張するに至ります。そもそもヤルタ協定が不公正なものであり、サンフランシスコ条約の千島条項も廃棄・無効化を主張してしかるべきです。沖縄返還も、この条約の壁を越えて本土復帰を果たしました。

 日本共産党は、①北海道の領土の一部である歯舞群島と色丹島は、中間的な友好条約によって速やかな返還を求める、②千島列島返還を内容とする平和条約を締結する--という段階的解決を主張してきました。昨年2月の予算委員会で私の質問も、この土台に立っています。

 先日の根室訪問の際にも書いたように、さまざまな史実も明らかになってきています。旧ソ連に米国の武器などが貸与され、共同演習もおこなわれ、千島列島に攻め入る際も米国製の艦船などが用いられていた、などです。旧ソ連の責任は当然ですが、ヤルタ協定やサンフランシスコ条約で同意した米国のかかわりも問われる必要はないか。深めるべきテーマです。

 安倍首相が再びプーチン大統領と対談するようですが、共同経済活動だけで領土交渉が進展すると本気で思っているのでしょうか。両国での一致点や接点づくりは重要ですが、原則をなし崩しにしていては足元を見られかねません。それが一昨年、プーチン大統領が「領土問題は存在しない」とまで発言する背景となってはいないでしょうか。

 元島民や根室市と隣接自治体だけでなく、道民・国民の世論がどうしても必要です。私自身もじゅうぶんに関われていないもどかしさがあるのですが、ことあるごとに発信しなければと思っています。ぜひブログをお読みのみなさんも、まわりへお広げください。

 【今日の句】歓心を 買うこと目立つ 安倍外交

2 件のコメント:

  1. ヤルタ協定が戦後処理の国際法上のルールから逸脱した内容であり、これを逸脱している以上もとに戻すのが原則です。対等な立場で当時の協定に参加した各国への申し入れと平行して、日本共産党を中心に国連での問題提起ができる超党派の議員連盟をつくってはいかがでしょうか。

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    1.  匿名さん、コメントありがとうございます。
       歴史の総括と必要な是正は、党派を問わず進めなければいけない課題ですものね。貴重なご意見として受け止めさせていただきます。

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